セッション情報 |
パネルディスカッション25(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)
H. pylori 除菌後長期経過による内視鏡像の変化
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タイトル |
内PD25-12:H. pylori除菌治療奏功後に再発した胃MALTリンパ腫におけるWatch and waitの有効性について
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演者 |
近藤 真也(愛知県がんセンター中央病院・内視鏡部) |
共同演者 |
田近 正洋(愛知県がんセンター中央病院・内視鏡部), 丹羽 康正(愛知県がんセンター中央病院・内視鏡部) |
抄録 |
【目的】胃MALTリンパ腫において60-80%がH. pylori除菌治療に反応することが知られているが、一方で組織学的に遺残再発をきたす症例が散見される。これらの症例に対してWatch and waitが有効とした報告もあるが、その有効性に関しては、未だ一定の見解は得られていない。今回、H. pylori除菌治療後に再発をきたした症例におけるWatch and waitの有効性について検討した。【方法】対象は1993年11月から2008年9月までに当施設で経験した胃MALTリンパ腫110例のうち初回治療としてH. pylori除菌療法を行なった100例。男性47例、女性53例、年齢平均56.6歳(26-87歳)、H. pyloriは78例(78%)で陽性であった。内視鏡所見はびらん、潰瘍、褪色、萎縮性胃炎類似病変、早期胃癌類似病変、隆起型、敷石状粘膜およびその他に分類した。生検診断はWotherspoonらのGrade分類に準じて行なった。内視鏡観察は、1年目は3ヶ月毎、2年目は4ヶ月毎、3年目は6ヶ月毎、4年目以降は1年毎とした。奏功群における除菌治療再発群の特徴とWatch and waitの有効性について検討した。【結果】除菌奏功群は61例、非奏功群は39例であった。H. pylori陽性率は奏功群59例(96.7%)、非奏効群19例(48.7%)であった。除菌奏功群61例のうち、9例(14.8%)において再発を認めた(観察期間中央値85.4ヶ月)。9例中8例は生検組織にて組織学的再発所見を認めるも、内視鏡的には再発所見を認めなかった。1例で、内視鏡的および組織学的な再発を認めた。除菌治療後の寛解から再発までの平均期間は、14.5ヶ月であった。再発例では内視鏡的に敷石状粘膜を呈する割合が有意に高かった(P=0.0025)。内視鏡的に再発を認めた1例で2次治療として放射線治療を行い、再びCRが得られた。組織学的な再発を認めた8例ではWatch and waitとしたところ、経過観察中に全例で再びCRが得られた。【結論】Watch and wait strategyは除菌奏効後の組織学的再発症例に対して治療の選択肢の一つとして有効であると考えられた。 |
索引用語 |
胃MALTリンパ腫, Watch and wait |