抄録 |
【目的】MR拡散強調像では水分子の拡散現象を見かけの拡散係数(appar-ent diffusion coet且cient(ADC))として定量化が可能であり.近年では膵領域においても臨床応用が報告されている今回我々は外科治療が行われた膵癌ならびに鑑別を要した充実性膵腫瘍のADC値を比較し膵癌においては予後との関連性を検討した.【対象と方法】対象は2008年1月から2011年5月までに術前にMR拡散強調像撮影が行われた78例(膵癌60例膵内分泌腫瘍(NET)12例Solid pseudopap皿ary neoplasm(SPN)6例)である.各症例に対し0および1000msec時点のDWI信号強度から腫瘍部のADC値を算出した.膵癌においては臨床病理学的因子(年齢性別腫瘍径腫瘍の局在分化度腫瘍マーカーTNM分類病期分類)ごとにADC値を比較し予後との関係はADC値を中央値1.38×10-3mm2/sで2群に分類しLog-Rank検定を用いて解析した.【結果l ADC値は膵癌L40±O.16 × 10-3mm2/sNET 1.82±O.49 × 10-3mm2/sSPN 1ne±O.sa × 10-3mm2/sであった.膵癌vs NET膵癌vs SPNNET vs SPNのいずれの群問でも有意差が認められた(p三〇.0032p=0.036p=0.005).膵癌における臨床病理学的因子の検討では分化度においてADC値は高分化1.62±O.1 × 10-3mm2/s中分化1.38±0.12 x 10-3mnm2/s低分化IM±O.21 x lO-3mm2/sであり有意差が認められた(K:ruska1-Wallis test ; p<O.OOOI).またt ADC高値群は低値群に比べ有意に予後は良好であった(p=0.0〔}44)、【結論】ADC値は膵癌の鑑別及び手術例における予後予測因子として有用であった. |