セッション情報 パネルディスカッション26(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

75歳以上の後期高齢者に対する胆石症の治療戦略

タイトル 内PD26-1:

高齢総胆管結石症例に対する胆道ステント留置術の現状と工夫

演者 下山 真(浜松医療センター・消化器科)
共同演者 影山 富士人(浜松医療センター・消化器科), 山田 正美(浜松医療センター・消化器科)
抄録 【目的】総胆管結石は一般に内視鏡的結石摘出術がなされているが高齢者や重篤な基礎疾患、認知症でADLが低い症例にはプラスチックステント(PS)留置も治療選択のひとつである。高齢者におけるPS留置術を評価し、PS+経鼻胆道ドレナージ(NBD)同時留置の有用性についても検討した。【対象と方法】対象は2005年から2011年6月に症状を有し入院した総胆管結石で完全結石摘出術を行わずPSを留置した79例(男28例、女51例)。PSは7Fr~10Fr.のストレートチューブ(Olympus Quick Place Biliary Stent-VR)を用いた。【結果】症例は平均年齢82.9歳で結石摘出を行わない理由は高齢であることに加え結石多数や砕石困難例が占め、特に不穏やせん妄など重度の認知症を14例に認めた。PS留置前にNBDを行ったものは48例でPSの一期的留置は30例、PSとNBDの同時併用留置は9例。用いたPSは7Fr 59例、8.5Fr 19例、10Fr 9例で、PS1本留置が59例、2本留置が19例。PS留置に際してEST施行例は66例、EST非施行例は13例。平均入院期間は27.8日(2-95日)でPS留置後の開存平均期間は192.5日(3-1646日)。早期偶発症は膵炎3例、出血1例。【考察】PSのサイズ、本数による短期的な偶発症、および開存期間に有意差はなく、ESTの施行の有無でもその後の経過に差はなかった。PSの一期的留置は入院期間の短縮につながるが、症例の多くは胆管炎を伴いNBD留置が望ましい。PSとNBD同時留置は、高度の炎症とNBD自己抜去のリスクが高い認知症に適応が多く偶発症のリスクと患者の苦痛を軽減させ、NBD自己抜去時の対応も可能である。またNBD抜去時にPSの逸脱例はなかった。医療経済的にはDPC診療10日入院とすればPSとNBD同時留置は55000点に対しNBD後二期的なPS留置は65000点と点数も抑えられる。NBD+PS同時併用はERCPの回数を減少させ、認知症等でのNBD自己抜去時に対応でき、入院期間の短縮とコストの軽減に寄与する。
索引用語 高齢者, 総胆管結石