セッション情報 |
パネルディスカッション26(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
75歳以上の後期高齢者に対する胆石症の治療戦略
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タイトル |
内PD26-3:後期高齢者に対する内視鏡的胆管結石除去術の成績
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演者 |
北村 勝哉(昭和大・消化器内科) |
共同演者 |
吉田 仁(昭和大・消化器内科), 井廻 道夫(昭和大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】当施設における後期高齢者に対する内視鏡的胆管結石除去術の治療成績を検討する.【方法】2007年1月から2011年12月まで当施設にてERCPを要した未処置乳頭胆管結石253例のうち,75歳以上の後期高齢者134例(A群)と75歳未満119例(B群)の治療成績をretrospectiveに検討した.中央(最小~最大)値表記.【成績】未処置乳頭胆管結石253例の年齢は75(17~97)歳,男性141例,女性112例.EST 83.8%(212/253),EPBD 5.1%(13/253),EST併用EPBD 9.9%(25/253),内視鏡的胆管結石除去率は97.6%(247/253)であった.A群とB群の性別,胆管結石数,胆嚢・胆管炎併発率に有意差を認めなかった.胆管径(12mm vs. 9mm),胆管結石径10mm以上(49.3% vs. 18.5%),有胆石(59.7% vs. 76.5%)(各々p<0.01),治療時抗血小板・凝固薬内服(11.9% vs. 4.2%,p<0.05)に関して両群間で有意差を認めた.各群のEST,EPBD施行率に有意差を認めなかったが,待機的EST施行率はB群と比較してA群で有意に高かった(24.8% vs. 10.7%,p<0.01).各群の胆管結石除去率に有意差を認めなかったが,B群と比較してA群で待機的結石除去率は有意に高く(34.8% vs. 20.9%,p<0.05),結石除去用balloon使用率は有意に低かった(70.5% vs. 82.6%,p<0.05).鎮静薬(flunitrazepam)使用率は両群間で有意差を認めず,使用量はB群と比較してA群で有意に少なかった(1mg vs. 1.4mg,p<0.01).鎮痙薬のうちscopolamine butylbromide使用率はB群と比較してA群で有意に低く(6.2% vs. 23.9%,p<0.01),glucagon使用率はB群と比較してA群で有意に高かった(43.8% vs. 15.4%,p<0.01).鎮痛薬(pentazocine)使用率はB群と比較してA群で有意に低かった(18.5% vs. 54.7%,p<0.01).両群間の治療時間,偶発症(膵炎,出血,穿孔),胆管結石再発率に有意差を認めなかった.【結論】後期高齢者に対する内視鏡的胆管結石除去術は,適正な薬物使用と適切な乳頭処置や結石除去時期を考慮すれば安全に施行可能であると推定される. |
索引用語 |
後期高齢者, 内視鏡的胆管結石除去術 |