セッション情報 パネルディスカッション26(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

75歳以上の後期高齢者に対する胆石症の治療戦略

タイトル 内PD26-6:

75歳以上の巨大胆管結石例に対する治療戦略内視鏡的乳頭切開術+ラージバルーン併用切石術(ESLBD)の検討-その安全性と中期予後を含めて-

演者 糸川 文英(東京医大・消化器内科)
共同演者 糸井 隆夫(東京医大・消化器内科), 祖父尼 淳(東京医大・消化器内科)
抄録 【目的】高齢化社会に伴い胆石症の発症頻度は増加しつつある。なかでも胆管結石の治療法として内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)による切石は確立されている。しかしながら巨大胆管結石においては機械式結石破砕術(ML)や電気水圧衝撃波またはレーザーによる付加処置を必要とする場合が多く、特に高齢者に対して負担となる場合が多い。近年EST+ラージバルーン併用(ESLBD)による切石術の有用性が報告されている。今回75歳以上の巨大胆管結石症例に対してESLBDによる切石術安全性と中期予後を検討する。【方法】2006年11月より2011年12月まで本法を施行した156例のうち、75歳以上の87例(平均年齢83.3±6.3歳 75-102,EST既往17例)の胆管結石を対象とした。ESLBD適応基準は最大短径13mm以上の単または10mm以上の複数結石例とした。凝固能異常、血小板5万以下、抗血小板・凝固薬服用例、急性膵炎、敗血症性ショック、Billroth 2・Roux-en Y例は除外した。ESLBDはESTの後にラージバルーンをガイドワイヤー下に挿入し乳頭を拡張した。バルーン径は結石・胆管径に合わせて選択した。【成績】憩室合併は41例(47.1%)で、有胆嚢64例、胆嚢結石41例、EST既往は12例であった。胆管径、結石径、個数は17.2±3.5mm、13.65mm±3.7mm、個数3.6±3個であり、治療回数は2例を除いて1回で完遂し得た。偶発症は膵炎1例(軽症)、後腹膜穿孔1例(保存的に軽快)、胆管炎1例、術中出血を12例に認めたがバルーン圧迫等にて止血可能であった。2012年2月までの観察期間ではESLBD再発を2例認めたがいずれもEST既往例であった。【結論】75歳以上の高齢者における巨大胆管結石にもESLBDは有用な治療法の一つであり、憩室合併が高頻度であっても比較的安全に施行可能であった。また現時点までの観察期間においてESLBDによる胆管結石再発は低頻度であった。
索引用語 胆管結石, ESLBD