セッション情報 パネルディスカッション26(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

75歳以上の後期高齢者に対する胆石症の治療戦略

タイトル 消PD26-7追:

後期高齢者(75歳以上)に対する胆石治療について

演者 和唐 正樹(香川県立中央病院・消化器内科)
共同演者 稲葉 知己(香川県立中央病院・消化器内科), 河合 公三(香川県立中央病院・消化器内科)
抄録 【目的】超高齢化社会の到来に伴い、高齢者の胆石症例は増加している。当院における総胆管結石の内視鏡治療例を検討し、高齢者の治療戦略を考えた。【対象・方法】2002年1月から2011年12月の間、当院で内視鏡的治療を行った総胆管結石症例646例(平均年齢73.4歳)。646例を75歳以上の高齢者群330例と75歳未満の非高齢者群316例の2群に分け比較検討した。【成績】併存疾患は高齢者群で高血圧症及び虚血性心疾患、脳血管障害を多く認めた。平均処置回数は高齢者群1.3回、非高齢者群1.2回。平均結石径は高齢者群11.9mm、非高齢者群8.9mm、平均結石個数は高齢者群2.5個、非高齢者群2.0個。処置回数には差がなく、高齢者群で結石径は大きく(p<0.0001)、結石個数は多かった(p=0.0007)。処置成功率は高齢者群96.7%、非高齢者群95.6%と差がなく。術中の高血圧や低酸素血症は両群間に差を認めなかった。偶発症は膵炎及び出血、肺炎では差を認めず、胆管炎を高齢者群9例、非高齢者群1例と高齢者群で多く認めた(p=0.0104)。平均入院期間は高齢者群17.1日、非高齢者群15.2日と高齢者群で長かった(p=0.0036)。両群の処置成功例のうち、截石成功例は高齢者群301例、非高齢者群299例。その中で胆嚢結石合併例は高齢者群122例(40.5%)、非高齢者群164例(54.8%)と高齢者群で少なく(p=0.0004)、胆嚢結石合併例のうち、追加胆嚢摘出術(胆摘)例は高齢者群58例(47.5%)、非高齢者群122例(74.3%)であった。胆嚢結石非合併例中の胆摘後症例は高齢者群84例(27.9%)、非高齢者群56例(18.7%)であった。【結論】総胆管結石は高齢者群において大きく、数も多いが、成績及び処置回数に差はなく。高齢者群で胆管炎を多く認めたが、術中の異常に差を認めず、高齢者においても内視鏡的治療は比較的安全で有用である。ただし、入院期間は長い傾向があり、厳重な術中及び術後管理は必要である。胆嚢結石の合併例は高齢者群で少なく、追加胆摘例も少ないが、胆嚢結石合併例中47.5%には追加胆摘を施行できており、個々の状態により追加胆摘も容認されると考える。
索引用語 胆石, 高齢者