セッション情報 |
パネルディスカッション26(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
75歳以上の後期高齢者に対する胆石症の治療戦略
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タイトル |
内PD26-8:当院における後期高齢者総胆管結石症治療の検討
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演者 |
景岡 正信(藤枝市立総合病院・消化器科) |
共同演者 |
渡辺 文利(浜松南病院・消化器病・IBDセンター), 丸山 保彦(藤枝市立総合病院・消化器科) |
抄録 |
【目的】当院では総胆管結石症に対してESTないしEPBDによる内視鏡的切石が第一選択だが、高齢で重篤な基礎疾患や認知症を有する場合完全切石に長時間かける事が困難なため、結石嵌頓予防目的に胆管ステント長期留置(EBS)とする場合がある。今回、後期高齢者(75歳以上)総胆管結石症に対する経乳頭的内視鏡治療(内視鏡的切石ないしEBS)の有用性と問題点を明らかにする。【方法】過去20年間に当院で経乳頭的内視鏡治療を行い経過観察しえた総胆管結石513例(男288、女225、平均観察期間60.1ヶ月)について後期高齢者(A群)214例、非高齢者(74歳以下:B群)299例に分けて患者背景、治療成績、早期/長期偶発症、予後を検討した。【結果】患者背景として重篤な基礎疾患を40.7%vs17.4%、認知症を7.9%vs0.3%、抗血小板薬内服を23.4%vs5.7%といずれもA群で高率(p<0.001)に認めた。胆道感染合併率も55.6%vs39.8%とA群が高率であった。総胆管径、総胆管結石径のいずれもA群が有意に大きかった。治療成績は内視鏡的完全切石率はA群93.2%、B群98.6%(p<0.01)、EBSがA群20.6%、B群1.3%(p<0.001)となっている。早期偶発症はA群4.2%(膵炎2.2%)、B群8.0%(膵炎5.7%)で有意差はないが前者が低い傾向にあった(p=0.08)。長期偶発症はA群20.1%、B群12.0%で有意にA群が高率(p<0.001)であったが、いずれも対応できており、偶発症による死亡は認めない。多変量解析にて有石胆嚢放置、総胆管径10mm以上、およびEBSが長期偶発症の危険因子となった。【結論】高齢者は患者背景から内視鏡的切石困難例が多いことが予想されるが、長期偶発症のリスクが高い事を十分考慮したうえで侵襲の少ないEBSをうまく使い分けることで、高齢者の総胆管結石症に対する経乳頭的内視鏡治療を安全かつ有用なものとしている。 |
索引用語 |
総胆管結石症, 後期高齢者 |