セッション情報 |
パネルディスカッション26(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
75歳以上の後期高齢者に対する胆石症の治療戦略
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タイトル |
内PD26-9:当院における高齢者総胆管結石症に対する治療成績の検討
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演者 |
谷口 洋平(日赤和歌山医療センター・消化器内科) |
共同演者 |
山下 幸孝(日赤和歌山医療センター・消化器内科), 上野山 義人(日赤和歌山医療センター・消化器内科) |
抄録 |
【背景】高齢者の総胆管結石症に対する臨床的特徴、治療成績、内視鏡的治療の有用性と安全性を検討する。【対象】2004年4月~2011年12月までの8年間、当科で経験した総胆管結石1064例(男性560例、女性504例)、平均年齢69.1歳である。症例を74歳以下の641例(A群)、75歳~84歳以下の294例(B群)および85歳以上の129例(C群)の3群に分け比較。【検討項目】治療成績、処置内容、偶発症、入院中合併症。【結果】入院時の急性胆管炎合併はA群・B群・C群で53.9%、66.1%、76.2%。内視鏡処置施行率は99.6%・99.2%・97.1%、残石率は2.7%・9.4%・15.7%(胆管ステント(PS)留置のみ0.7%・3.4%・10.8%)。平均処置回数は1.2回・1.3回・1.3回。偶発症は術後膵炎を4.4%・3.0%・3.9%、胆管損傷/腸管穿孔を1.1%・2.1%・0%、出血は1.5%・0.4%・0.9%。入院中に発症した合併症は肺炎が0.2%・0.9%・7.8%、循環器異常が0.2%・0.4%・3.9%。入院期間に関しては13.0日・15.0日・14.0日。【考察】3群間の内視鏡処置施行率、処置内容に差は認めず。残石率は年齢とともに増加し、その原因は截石を希望せずPS留置のみを行う症例の頻度の高さと考える。一方で偶発症の頻度は、3群間に有意差がなく内視鏡的截石術は超高齢者でも注意深く施行すれば可能と考える。しかし、85歳以上で入院期間中の合併症が起きる頻度が高いため入院期間中は十分な注意が必要である。また、当科では処置時間、処置回数、入院期間の短縮のため巨大結石、積み上げ結石に対してEST+EPLBD(内視鏡的乳頭大径バルーン拡張術)での截石行っている。現在まで75歳以上では40症例に施行し平均処置回数1.2回、偶発症は術後膵炎、穿孔などの重篤な合併症はなく良好な治療成績である。今後、長時間や複数回の内視鏡治療の回避が望まれる高齢者にとって有用な治療法の選択肢の一つになりうると考える。 |
索引用語 |
総胆管結石, ERCP |