セッション情報 |
パネルディスカッション26(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
75歳以上の後期高齢者に対する胆石症の治療戦略
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タイトル |
消PD26-10:後期高齢者急性胆嚢炎に対する胆嚢ドレナージ症例の検討
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演者 |
中村 雄二(慶應義塾大・消化器内科) |
共同演者 |
山岸 由幸(慶應義塾大・消化器内科), 日比 紀文(慶應義塾大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】急性胆嚢炎は重症化し死亡することがあり的確な対処が必要である。当科でドレナージ術を施行した急性胆嚢炎症例で、75歳以上の後期高齢者と75歳未満の症例で違いがあるか検討するために後ろ向きに解析した。【方法】2005~2010年に急性胆嚢炎で当科を受診し胆嚢ドレナージを試行したうち胆嚢癌を除外した男性73名、女性30名を対象とした。【成績】年齢の中央値は75歳で75歳以上の後期高齢者群52例と75歳未満の対照群51例を比較した。全体の47.6%が無石胆嚢炎で、後期高齢者群に有石胆嚢炎を多く認めた。基礎疾患は神経疾患18.4%、膵疾患12.3%、心疾患11.4%、腎臓疾患11.4%などを認め、後期高齢者で多くの基礎疾患を認めた。胆汁培養は69.9%で陽性となり、検出された菌種はEnterococcus sp. (27.2%)が高頻度で、次にKlebsiella sp. (15.2%)、Escherichia coli (8.7%)の順番であり、後期高齢者に胆汁培養陽性を多く認めた。胆汁培養陽性症例を検討してみると、陰性症例の平均年齢67歳、1菌種陽性は69歳、2菌種陽性は76歳、3菌種以上陽性は78歳であった。ドレナージ方法でPTGBA 23症例を検討したところ、PTGBA後にPTGBDを施行した症例が7例あり、そのうち6例が後期高齢者であった。死亡例は9例に認めたが後期高齢者とは関係なく、透析例や悪性疾患を認める症例が多かった。また胆嚢炎が直接の死亡原因となった例はなかった。【結論】当院で経験した急性胆嚢炎ドレナージ施行症例の約半数は後期高齢者であった。後期高齢者群では胆汁への複数細菌感染を有していることが多く、PTGBAのみでコントロールつかない例も多い。また後期高齢者は基礎疾患を多く有している。今後高齢化に伴い同様の症例はますます増加すると思われるが、ドレナージを活用することにより良好な予後が得られると考えられる。 |
索引用語 |
胆嚢ドレナージ, 急性胆嚢炎 |