セッション情報 パネルディスカッション26(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

75歳以上の後期高齢者に対する胆石症の治療戦略

タイトル 内PD26-11:

後期高齢者に対する胆嚢炎再発予防目的の内視鏡的経乳頭的胆嚢内ステント留置術の有用性

演者 鎌田 英紀(香川大・消化器・神経内科)
共同演者 内田 尚仁(滝宮総合病院・内科), 正木 勉(香川大・消化器・神経内科)
抄録 【目的】急性胆嚢炎の治療の基本は早期の胆嚢摘出であるが、後期高齢者では基礎疾患や耐術能の問題のため、内科的な治療が選択されることも多い。さらには、後期高齢者において急性胆嚢炎を再発する症例もしばしば経験する。我々は、後期高齢者の再発性胆嚢炎に対して、再発予防を目的とした内視鏡的経乳頭的胆嚢内ステント留置術を施行しており、その有用性について検討した。【対象】2006年4月から2012年3月までに、後期高齢者の再発性胆嚢炎症例に対して内視鏡的経乳頭的胆嚢内ステント留置術を施行した15例(男性:7例・女性:8例)・平均年齢:84.1歳(76~93歳)である。【方法】胆管深部挿入後、ラジフォーカスガイドワイヤーで胆嚢管を探り、胆嚢内に十分にガイドワイヤーを留置した後、造影カテーテルを胆嚢内まで挿入し、腰の固いガイドワイヤーに交換後、ステントを留置した。【結果】1.患者背景:全例で基礎疾患を有しており、その内訳は重複も含めて、脳血管障害が60%(9例/15例)、心疾患が26.7%(4例/15例)、慢性呼吸不全が6.6%(1例/15例)、悪性疾患が20%(3例/15例)であった。また、高度認知症が80%(12例/15例)にみられ、抗凝固剤・抗血小板剤内服症例が73.3%(11例/15例)であった。ASAスコアによる耐術能評価では、ASA-PS3以上のものが93.3%(14例/15例)で、寝たきり度B以上が66.7%(10例/15例)であった。初発時治療は抗生剤単独治療が9例で、ドレナージ+抗生剤治療が6例であった。2.成績:全例100%(15例/15例)で胆嚢内ステント留置に成功した。偶発症は軽症膵炎が6.6%(1例)みられた。全例において経過観察期間中(平均14ヶ月:0.5ヶ月~42ヶ月)の胆嚢炎の再発はみられなかった。【結語】多数例での検討が必要であるが、後期高齢者に対する胆嚢炎再発予防目的の治療法として、内視鏡的経乳頭的胆嚢内ステント留置術が有用である可能性が示唆された。
索引用語 胆嚢炎, ステント