セッション情報 パネルディスカッション26(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

75歳以上の後期高齢者に対する胆石症の治療戦略

タイトル 外PD26-14:

急性胆嚢炎に対する緊急手術243例の検討

演者 豊田 良鎬(大垣市民病院・外科)
共同演者 磯谷 正敏(大垣市民病院・外科), 金岡 祐次(大垣市民病院・外科)
抄録 【目的】高齢化が進む現代において,胆石症の患者は増加しており高齢者の急性胆嚢炎症例も増加傾向にある.当院では年齢を問わず急性胆嚢炎に対しては,全身状態不良例を除き原則,緊急での開腹手術(術中胆道造影),総胆管結石を認めた場合は総胆管切石,T-tubeを施行している.今回,高齢者の急性胆嚢炎に対する緊急手術の安全性を検討した.【方法】2007年2月から2012年2月に施行された急性胆嚢炎に対する緊急手術症例243例を非高齢者群(75歳未満,n=161)と高齢者群(75歳以上,n=82)に分け,術前白血球数,術前CRP値,術前抗凝固薬内服の有無,手術時間,出血量,合併症,術後在院日数について比較検討した.急性胆嚢炎の診断は診療ガイドラインに基づいて行った.【成績】患者背景では非高齢者群25-74歳(平均58.9歳),高齢者群75-96歳(平均81.3歳),両群間に性別,術前白血球数,CRP値,抗凝固薬内服の有無に有意差を認めなかった.術式は開腹胆嚢摘出術227例,腹腔鏡下胆嚢摘出術16例であり腹腔鏡下胆嚢摘出術は全て非高齢者群で施行されていた.術中胆道造影の結果から総胆管切石が施行された症例は12例であった(非高齢者:高齢者=6:6).非高齢者群:高齢者群で手術時間平均値(分)は97:108(P=0.82),出血量平均値(ml)は404:430(P=0.086).合併症としては術中胆道損傷を非高齢者群:高齢者群で2例(1.2%):1例(1.2%)術後胆汁漏が3例(1.9%):1例(1.2%),遺残結石で内視鏡的処置を要したものが2例(1.2%):1例(1.2%),創感染10例(6.2%):3例(3.7%),術後出血で再開腹を要したものを非高齢者群1例(0.6%)に認めた.手術関連死亡はいずれの群にも認めなかった.術後平均在院日数(日)は9:13(P<0.0001)であった.【結論】術後在院日数以外は2群間での有意差を認めなかった.急性胆嚢炎に対しては高齢者であっても積極的に手術加療を考慮すべきである.
索引用語 急性胆嚢炎, 高齢者