セッション情報 ワークショップ1(肝臓学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

非B非C型肝癌を見落とさないための方策

タイトル 肝W1-2:

非B 非C肝癌に関連する新規リスクファクターの検討

演者 山田 慎吾(久留米大・消化器内科)
共同演者 川口 巧(久留米大・消化器内科DELIMITER久留米大・消化器疾患情報), 佐田 通夫(久留米大・消化器内科DELIMITER久留米大・消化器疾患情報)
抄録 【目的】NAFLD,糖尿病や肝線維化は非B非C肝癌の危険因子であるが、肝癌は進行した状態で発見されることも少なくなく、さらなる危険因子の同定が必要である。本研究の目的は、非B非C肝癌の新たな危険因子を同定することである。【方法】1995年から2010年に当院で肝癌と診断されHBs抗原陰性かつHCV抗体陰性の224名を非B非C肝癌群(Case群)とした。Control群として、1996年から2007年に当院と同地域に位置する基幹病院で人間ドックを受診したのべ176886名のうち、HBs抗原陰性かつHCV抗体陰性で肝癌を認めない被験者から、性と年齢をマッチングさせた224例を設定した。単変量解析により非B非C肝癌群の特徴を検討するとともに、多変量解析により非B非C肝癌に関与する独立危険因子を検討した。【成績】Case群の患者背景は平均年齢67.9±9.4歳、平均腫瘍径5.56±3.68cm、腫瘍ステージI/II/III/IV=19/75/54/76、腫瘍数1/2-3/3<=104/58/62であった。両群の比較において、BMI,中性脂肪,血圧はCase群とControl群の間に有意差を認めなかったが、飲酒量, Brinkman index, AST, ALT,総ビリルビン,γGTP,血糖,HbA1c,Fib-4 indexはCase群で有意に高値であった。また、血小板,アルブミン(3.6±0.5 vs. 4.3±0.3 g/dL, P<0.001),コレステロール(165±48 vs. 210 ±32 mg/dL, P<0.001)はCase群で有意に低値であった。両群間で有意差を認めた項目について多重ロジスティック回帰分析を行うと、ALT(OR 5.88, 95%CI 2.68-12.86, P<0.001)、HbA1c(OR 3.29, 95%CI 1.53-7.10, P=0.002)が有意な独立危険因子であった。また、アルブミン低値(<4.00 g/dL)も有意な独立危険因子であった(OR 24.89, 95%CI 11.35-54.59, P<0.001)。【結論】本研究により、既知の非B非C肝癌危険因子であるALT高値, HbA1c高値に加えて、アルブミン低値も非B非C肝癌の独立危険因子であることが明らかとなった。これらの因子を用いて高危険群を設定することは、非B非C肝癌の早期発見に有用であると考えられる。
索引用語 アルブミン, HbA1c