セッション情報 ワークショップ1(肝臓学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

非B非C型肝癌を見落とさないための方策

タイトル 肝W1-3:

非B非C肝癌における原因疾患別の臨床的特徴

演者 織部 淳哉(大分大・1内科)
共同演者 本田 浩一(大分大・1内科), 清家 正隆(大分大・1内科)
抄録 (はじめに)近年、ウイルス性肝癌は減少傾向にあり非ウイルス性肝癌の占める割合は増加している。ウイルス性肝癌にくらべて非ウイルス性肝癌の特徴については不明な点が多く、非B非C肝癌における臨床的特徴について検討した。(対象と方法)(1)1996年から2010年まで当科と関連施設で経験した初発肝癌1358例のうち非B非C肝癌を選別し、アルコール性、NAFLD関連、自己免疫性、cryptogenicに分けて臨床背景、累積生存率について解析した。(2)経過観察が可能であったAIH111例(平均観察期間8.0±5.7年)、PBC102例(平均観察期間10.3±7.8年)からの発癌症例で発癌に関する因子を検討した。(3)ウイルス性肝疾患のない2型糖尿病患者452例を7年間経過観察した際の肝癌合併率を調べた。(結果)(1)全肝癌症例のうちBは217例(16%)、C型937例(69%)、B+C型20例(1.5%)、非B非C型184例(13.5%)だった。非B非C肝癌の原因はアルコール性が90例(49%)、NAFLD関連は16例(9%)、自己免疫性は17例(9%)、cryptogenic61例(33%)だった。臨床背景の特徴はアルコール性で男性に多く、NAFLD関連でBMIが高く、糖尿病の合併はアルコール性、NAFLD関連で多く自己免疫性で少なかった。累積生存率ではNAFLD関連はアルコール性より低く、その他の背景肝では有意差はなかった。(2)AIHの発癌は9例(8.1%)、PBCは8例(7.4%)に認められ、ともに60歳以上の高齢、肝線維化進行例に多かった。AIH、PBC肝癌例の累積生存率に有意差はなかった。(3)肝癌は糖尿病患者全例のうち3例(0.7%)に発症し、1例はアルコール性が、2例はNAFLD関連肝癌が疑われた。(まとめ)非B非C肝癌は背景肝によって特徴が異なるため、各背景への対応が必要である。また、糖尿病患者からの発癌は必ずしも多くはなかったが、他科領域における肝癌の掘り起しのため他科との連携も重要と考えられた。
索引用語 肝癌, 非B非C型