セッション情報 ワークショップ1(肝臓学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

非B非C型肝癌を見落とさないための方策

タイトル 肝W1-5追:

VTTQと背景肝因子を用いた発癌危険群の囲い込み戦略

演者 青木 智子(兵庫医大・内科(肝・胆・膵科)DELIMITER兵庫医大超音波センター)
共同演者 飯島 尋子(兵庫医大・内科(肝・胆・膵科)DELIMITER兵庫医大超音波センター), 西口 修平(兵庫医大・内科(肝・胆・膵科))
抄録 【目的】慢性肝炎・肝硬変からの発癌に関して様々な危険因子が報告されているが、Virtual Touch Tissue Quantification(VTTQ)で測定したせん断弾性波速度 (Vs) を加味した報告は多くはない。発癌既往の有無とVs・背景肝因子を比較・検討した。【方法】H20/10~H23/3にVTTQを行った慢性肝疾患765例 (男性428例、平均年齢61.9歳)を対象とした。肝細胞癌既往を有する症例は385例で対象の50.3%を占めていた。年齢、性別、脂肪肝診断、血液検査、Vsを独立変数として、発癌既往の有無との2変量相関係数表を作成し、発癌と相関する因子を選別して判別分析を行った。【成績】発癌歴のない380例のうち、HCVAb(+):223例(59%)、HBsAg(+):71例(19%)、HCVAbかつHBsAg(+):8例(2%)、HCVAbかつHBsAg(-)(以下NBNC):78例(20%)であった。発癌歴のある385例では同様に262例(68%)、34例(9%)、2例(0%)、87例(23%)であった。765例全例で発癌に相関する独立変数を単変量解析したところ、年齢・ヒアルロン酸・Vs・Plt・PT-INR・AFP・空腹血糖で有意差を認めた(p<0.001)。この独立変数を用いて発癌に寄与する因子を多変量解析すると、年齢・ヒアルロン酸・Vs・PT-INR・空腹血糖で発癌への寄与が示された。判別正答率は81.8%であった(p<0.001)。高齢でVsが高いことが特に発癌に関与していた。 同様に成因別に多変量解析を行った結果、HCV485例では年齢・ヒアルロン酸・Vs・PT-INR・γGTP (正答率82.6%、p<0.001)、HBV105例では年齢・Vs(正答率80.0%、p<0.001)、NBNC165例では年齢・Vs・Plt・空腹血糖 (正答率75.7%、p<0.001)であり、年齢・Vsで特に相関が強く、発癌と強い相関を示していることが伺えた。NBNCでは年齢・空腹血糖で特に相関が高かった。【結論】NBNCでは、発癌歴を有する症例は有意に高齢で肝臓が硬く、空腹時血糖が高かった(p<0.05)。VTTQは高リスク群の絞り込みに有用である可能性が示唆された。
索引用語 NBNC肝癌, VTTQ