セッション情報 ワークショップ1(肝臓学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

非B非C型肝癌を見落とさないための方策

タイトル 肝W1-7:

非B非C型肝癌の現状と問題点について

演者 辻 邦彦(手稲渓仁会病院・消化器病センター)
共同演者 友成 暁子(手稲渓仁会病院・消化器病センター), 青木 敬則(手稲渓仁会病院・消化器病センター)
抄録 【対象】2012年までに診断した肝癌881例。C型が406例でB型の227例と合わせてウイルス性が72%、非B非C型は248例で全体の28%。【方法】非B非C型をAlcohol(A)群、PBC/AIH、不明群に分けB型、C型と比較検討した。【検討項目】1.成因別頻度と年次別推移、2.背景因子、3.肝予備能、4.腫瘍因子、5.予後、6.代謝関連因子、7.HB既感染率、8.NAFLD・NASHの関与【結果】1.A群は99例で全体の13%(非B非C型の52%)、PBC/AIHは21例で全体の3%(同11%)、不明群は71例で全体の9%(同37%)。非B非C型は1996-2004年は全体の18%であったが、2005年以降は全体の34%で実数も増加していた。2.背景因子:A群の年齢・性別は64±9歳で男女比19:1と有意に男性に多く、PBC/AIHは76±9歳で1:6と有意に女性に多く、不明群は73±9歳で2.7:1と性差はなくB型58±9歳、C型69±8歳と比較しても有意に高齢者に多かった(p=0.001)。3.肝予備能:不明群はChild-Pugh Aが77%と良好例が多く認められたが、他群と有意差はみられなかった。4.腫瘍因子:平均腫瘍径とstageI,IIの割合は、A群45±31mmで51%、PBC/AIH 32±21mmで62%、不明群は61±42mmで47%と他群と比べより進行例が多く認められた(p=0.001)。5.予後:5生率はA群38%、不明群32%とともに不良であったが、stage I,IIではA群57%、不明群72%と、B型72%やC型65%と同等な予後が得られた。6.代謝因子:不明群はDM・HLの合併が74%・47%と高い傾向が認められ(B型62%・20%、C型40%・11%)、BMIも26±4と肥満が有意に多く認められた(p=0.01)。発癌時のFerritin値は不明群は261±243 ng/mlで他群と差はなく、A群で高い傾向がみられた。7.不明群のHB既感染率は44%で同年代の検診者39%と差は認めなかった。8.不明群の中で、NAFLDは32%に認められ、病理学的に検討し得た症例中、NASH確診は15%(肝癌全体の1%)であった。【まとめ】成因不明例は高齢者に多く肥満やDMの合併が高率に認められた。高危険群の設定が困難な現時点では、生活習慣病など広く内科系での定期US screeningや検診での拾い上げが重要と思われる。
索引用語 肝癌, 生活習慣病