セッション情報 ワークショップ1(肝臓学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

非B非C型肝癌を見落とさないための方策

タイトル 肝W1-9追:

当院における非B非C肝細胞癌の現状と早期発見のための方策

演者 福田 和人(市立池田病院・消化器内科)
共同演者 森本 修邦(市立池田病院・外科), 今井 康陽(市立池田病院・消化器内科)
抄録 【目的】当院における非B非C肝細胞癌(NBNC-HCC)の現状を解析し、早期発見のための方策について検討する【対象と方法】1989年より2011年までに当院で初回治療を行ったHCC 775例の原因をB型、C型、B+C型、NBNCに分類し、NBNCはさらにアルコール性肝障害、自己免疫性肝疾患、cryptogenic(NASHを含む)に分類した。各原因別に患者背景、腫瘍因子、予後について解析し、NBNC-HCCの特徴について検討した。さらに、NBNC-HCCの早期診断のための対策について考察した。【結果】775例の原因別内訳は、C型 68%、B型 12%、B+C型 1%で、NBNCは19%(アルコール 9%、自己免疫 3%、cryptogenic 7%)であった。診断時期を前期(2000年まで)、中期(2005年まで)、後期(2006年以降)に分けると、NBNCは各々10%、18%、26%であり、増加傾向が明らかであった。NBNCのうちでは、アルコール(6%、8%、11%)、cryptogenic (4%、5%、11%)の増加傾向が著明であった。2001年以降の症例のうち、肝疾患の定期的な経過観察中にHCCが発見された割合は、B型 60%、C型 76%、アルコール 55%、自己免疫 42%、cryptogenic 29%とNBNC群で低く、最大腫瘍径、腫瘍個数ともNBNC群で高値の傾向が認められた。平均生存期間はB型 5.9年、C型 5.0年、アルコール 5.0年、自己免疫 3.9年、cryptogenic 4.9年で、NBNC群でやや不良であった。cryptogenic群は、平均BMI値 25.5、糖尿病合併率63%、高血圧合併率59%が他群に比し有意に高く、非癌部肝組織を検討した19例中16例がNASH/NAFLDであった。糖尿病、高血圧、BMI 25以上、血小板 15万以下をスクリーニング項目とするとcryptogenic群46例中44例を拾い上げることが可能であった。【考察】NBNC-HCCは増加傾向であるが、定期観察中に診断される割合が低く予後は必ずしも良好ではない。アルコール性肝障害、メタボリックシンドロームなど生活習慣関連疾患のHCC発症を念頭に置いたフォロー、自己免疫性肝疾患の早期診断などがNBNC-HCCを見落とさないために重要と考えられた。
索引用語 非B非C, 肝細胞癌