セッション情報 ワークショップ1(肝臓学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

非B非C型肝癌を見落とさないための方策

タイトル 肝W1-10:

当院における非B非C肝癌の臨床的特徴

演者 高畠 弘行(倉敷中央病院・消化器内科)
共同演者 詫間 義隆(倉敷中央病院・消化器内科), 守本 洋一(倉敷中央病院・消化器内科)
抄録 【目的】非B非C肝癌をB型及びC型肝癌と比較検討し、非B非C型肝癌の高危険群の設定の可能性の検討を行った。【方法】1985年4月より2011年12月までに当科において診断もしくは治療を行った肝癌症例2007例を対象とし、HBs抗原陽性のB群278例、HCV抗体陽性のC群1379例、両者陽性のB+C群38例、両者陰性の非B非C群312例に分けて検討を行った。【成績】非B非C群の年齢は70.5±9.7歳でB群59.5±10.4歳、C群68.4±8.8歳、B+C群60.3±9.6歳と比べ高く、男性の割合もそれぞれ79.8%、75.2%、70.6%、71.1%と高かった。非B非C群は糖尿病、高血圧、高脂血症の有病率がそれぞれ50.0%、41.0%、14.4%と他群に比較して高く、BMIも24.5と高かった。飲酒については常習飲酒率は45.8%と他群と変わらなかったが平均アルコール摂取量は49.5gと高かった。また、喫煙指数も平均501.2と高かった。一方、肝癌の最大腫瘍径は各群それぞれ47.1±34.8mm、44.4±35.6mm、31.4±24.4mm、34.1±33.4mmで、肝癌の肉眼的進行度は非B非C群ではIVA+IVBが30.4%となるなどB群の30.5%と同様にC群の15.7%やB+C群の10%に比し高率であったが、肝予備能は他群と比較しても劣ってはおらずChild-Pugh分類Aが61.9%であった。非B非C群の詳細を検討すると、臨床的にアルコール性と診断されていた症例が113例、AIH14例、PBC8例、IPH1例、組織学的に確認されたNASH4例であったが、原因不明が171例であった。HBc抗体は27.9%に認められたが、高力価を示したのは11例に過ぎず、C群の50.5%と比べても低く、いわゆるsilent B関与の可能性は低いものと考えた。また、心・大血管疾患を13.8%に脳血管疾患を11.5%に合併していた。【結論】非B非C群では飲酒、糖尿病、高血圧、肥満などの生活習慣病との関連が示唆され、高齢・男性が多い傾向であったが、高risk群を絞り込むことは容易では無いものと考えられた。健康診断などの機会に腹部エコーなどの画像検査が行われることが望ましいものと考えられた。
索引用語 肝癌, 成因