セッション情報 ワークショップ1(肝臓学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

非B非C型肝癌を見落とさないための方策

タイトル 肝W1-11:

多施設共同研究による非B非C肝癌の実態

演者 細川 貴範(武蔵野赤十字病院・消化器科)
共同演者 大崎 往夫(大阪赤十字病院・消化器科), 泉 並木(武蔵野赤十字病院・消化器科)
抄録 【目的】近年非B非C肝癌は増加傾向にあり,その危険群をどのように囲い込み早期発見するかは早急な検討課題である。【方法】厚生労働省研究班全国赤十字肝疾患ネットワークの協力のもと多施設共同研究として非B非C肝癌653例を集計し,当院のウイルス性肝癌と比較検討した。また当院で人間ドックを受診した10319例との比較をおこなった。【成績】非B非C肝癌653例の内訳はアルコール性256例,NASH70例,原因不明263例,その他44例であった。B型肝癌117例,C型肝癌1103例との比較では,初発時の年齢はB型が若く,腫瘍径は非B非C 肝癌41mmでB型27mm, C型25mmに対し有意に大きく,腫瘍個数は有意差を認めなかった。初発時の腫瘍が3cm以下3個以下に限って検討すると3年再発率は非B非C51.7%に対しB型58.5%,C型74.2%,でありC型と比較し低率だが,5年生存率は非B非C71.0%,B型65.6%,C型67.8%で有意差を認めなかった。非B非C肝癌は健診受診者と比較し高齢で,BMI,γ-GTP,HbA1c,TGは高値なのに対してT-cho,LDLは低値であった。高血圧,糖尿病の既往,喫煙者も多かった。NASHを除外した非B非C肝癌においてもTGは有意差を認めないもののBMI,γ-GTP,HbA1cは高値なのに対し,T-cho,LDLは低値でありNASHに類似した臨床背景を有していた。非B非C肝癌全体と脂肪肝を認めた健診受診者との比較ではγ-GTP,HbA1cは高値なのに対してT-cho,LDLおよびBMI,TGは低値であった。【結論】非B非C肝癌は発見時に既に進行している割合が高かったが,早期に発見された場合,再発率,生命予後ともにウイルス性肝癌と同等であった。非B非C肝癌は健診受診者に比べBMI,γ-GTP,HbA1cは高値であるが,T-cho,LDLはむしろ低値であり,特に脂肪肝との比較ではBMI,TGも低値であった。代謝異常を背景とし自然経過でBMI,脂質異常が改善傾向にある症例の中に肝発癌の高危険群が混在していると考えられ注意が必要である。(全国赤十字病院肝疾患ネットーワークJRC-Hep-Netの協力のもと検討を行った)
索引用語 非B非C, 肝癌