セッション情報 ワークショップ1(肝臓学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

非B非C型肝癌を見落とさないための方策

タイトル 肝W1-12追:

非B非C肝癌における腫瘍マーカーと予後について検討

演者 田浦 直太(長崎大病院・消化器内科)
共同演者 市川 辰樹(長崎大病院・消化器内科), 中尾 一彦(長崎大病院・消化器内科)
抄録 【目的】非B非C型肝癌(NBNC)の特徴としてウイルス関連肝癌症例と比較しPIVKA-IIが40mAU/ml以上の症例が多いと報告されている。また、肝癌症例における腫瘍マーカーと予後の関連については多数の報告があるがいずれもウイルス関連肝癌を主体とした報告であり、NBNCの腫瘍マーカーと予後ついての報告は少ない。本研究では、NBNCにおけるAFP及びPIVKA-IIと予後とに関連について検討を行った。【対象】1999年より2010年までの期間、当科関連施設において肝癌と登録され、HBs抗原及びHCV抗体陰性症例の内、TNM stage III以上、ワーファリン内服例、AFP及びPIVKA-II未測定例を除外したNBNC 331例を対象としNBNC肝癌の予後について検討を行った。【結果】NBNC331例における予後に寄与する因子についてCox比例ハザードモデルによる多変量解析を行ったところ、血清アルブミン値 (p=0.002 RR2.23)、Child-pugh score (B: p=0.008 RR2.17; C: p=0.288 RR1.60)、AFP (20-199ng/ml: p=0.003 RR02.62; 200ng/ml以上: p=<0.001 RR2.95)、PIVKA-II (40-199mAU/ml: p=0.014 RR2.42; 200mAU/ml以上: p=0.003 RR1.39)、TNM stage (II: p=0.036 RR1.97)であった。さらにKaplan-Meier法にて検討したところ、AFP<20ng/ml群、20-199ng/ml群、=>200ng/ml群の5年生累積生存率は、各々67%、35%、26%と<20ng/mlに比較して有意に 20-199ng/ml群、=>200ng/ml群の5年生累積生存率が不良であった。また、PIVKA-II<40 mAU/ml群、40-199 mAU/ml群、=>200 mAU/ml群の5年生累積生存率は、各々79%、57%、47%と<40 mAU/mlに比較して有意に 40-199 mAU/ml群、=>200 mAU/ml群の5年生累積生存率が不良であった。【結論】NBNCにおいてAFP20ng/ml未満、PIVKA-II40mAU/ml未満の症例では有意に予後が良好であった。PIVKA-IIはNBNCにおいてサーベランスだけでなく予後予測に対しても有用である腫瘍マーカーであると考えられた。
索引用語 非B非C肝癌, PIVKA-II