セッション情報 |
ワークショップ1(肝臓学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)
非B非C型肝癌を見落とさないための方策
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タイトル |
消W1-13:肝細胞癌(非B非C型)切除症例における臨床学的背景
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演者 |
林 順平(日本大・消化器肝臓内科) |
共同演者 |
松岡 俊一(日本大・消化器肝臓内科), 森山 光彦(日本大・消化器肝臓内科) |
抄録 |
【目的】肝細胞癌の多くが慢性肝障害を背景に発生することは周知の事実でそのほとんどはBおよびC型の肝炎ウィルス陽性である。第18回全国原発性肝癌追跡調査報告(2004~2005年)でも肝炎ウィルス陽性例が約83%を占めているが、約17%には背景にB型、C型肝炎ウィルス陰性例からも発生しており近年それらの検討も多くされるようになっている。今回われわれはHBs 抗原陰性、HCV抗体陰性の肝細胞癌切除症例における臨床学的背景と最近の動向について報告する。【方法】対象は2008年1月10日から2010年8月31日までに、当院で外科的切除を施行した肝細胞癌症例393例を対象とし、2004年から2007年の切除例(378例)と比較した。腫瘍因子と腫瘍外因子(背景肝の状態と非ウイルス感染例における糖尿病・飲酒歴・HBc抗体の関与)との相関を検証し解析した。【成績】平均年齢68歳(35~83歳)男性271例、女性172例である。全切除症例にける非B非C型群の割合は38%であった。非腫瘍部の病理組織学的検討では、非B非C型群において慢性肝炎(49.6%)が肝硬変症及び正常肝(25.2%)に比し優位であった。耐糖能障害は非B非C型群で約47%に認めていた。さらに、HBVの関与についてはHBs抗原陰性、HBc抗体陽性例が非B非C型群において77.5%に認められた.【結論】当院切除例において近年NBNC型肝細胞癌の増加が著しく、内科的治療の進歩によりC型肝炎が減少していること、また切除不能なC型肝細胞癌が増加していることも一因と考えられる。非B非C型群においても背景肝組織の状態は何らかの肝障害がある場合が多く、今回の病理学的検討でも慢性肝炎症例が多く確認された。また、臨床的特徴として耐糖能障害が半数近くに認められ、肝細胞癌の発癌機序との関連について検討の必要性が考えられた。非B非C型群ではB型肝炎ウイルスの関与について更なる検討が必要であり,今後も臨床学的特徴を含めた背景因子の解析を進める予定である。 |
索引用語 |
肝細胞癌, 非B非C型 |