セッション情報 |
ワークショップ2(肝臓学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)
高齢者のC型肝炎-どう扱うか?
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タイトル |
肝W2-1:高齢C型慢性肝疾患におけるIL28B測定と治療選択の現状
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演者 |
是永 匡紹(国立国際医療研究センター・肝炎・免疫研究センター) |
共同演者 |
村田 一素(国立国際医療研究センター・肝炎・免疫研究センター), 溝上 雅史(国立国際医療研究センター・肝炎・免疫研究センター) |
抄録 |
[目的] IL28B minor/コア70番変異を有する症例は、3剤併用療法でもHCV排除が困難である。またHCV感染者の多くが高齢者であり、IL28B majorであっても治療導入困難例が存在する。今回、高齢者に対する治療現状を明らかにするため以下の検討を行った。[方法] 2009.10~2012.2の期間に、IL28B遺伝子を測定した50~80歳のC型慢性肝疾患例のうち、Child B/C・肝癌治療継続例を除いた253例(65歳未満/以上:139例/114例)を対象に、高齢者での治療選択の現状を検討した。[成績]IL28B major は65歳未満で65%(平均57歳)、65歳以上で72%(平均71歳)と高齢者にやや多く分布していたが、HCV排除目的のIFNは高齢者で有意に少なく(65歳未満/以上:62%/35%)、genotype1型/高ウイルス量以外が60%を占め、低ウイルス量4例では8週間のPegIFNα投与で全例SVRが得られた。HCV排除目的のIFNが導入されていない高齢者のうち、70歳以上で1年以上経過観察可能(平均14ヶ月)な38例ではPegIFNα少量長期8例、BCAA顆粒12例、肝庇護薬18例が投与され、IL28Bの分布に差を認めなかった。BCAAは低アルブミン症例に選択されており、少量長期群の年齢(平均75歳)・性別(男/女:3/5)・PLT(13万)に肝庇護群をmatchさせ(11例)たところ、少量長期では開始時にALT(平均61IU/l),AFP(平均98ng/ml)が有意に高い症例が選択され、1年後ALT/AFPは有意に改善し、肝庇護群では変化を認めなかった。少量長期群ではALT値はIL28B majorがminor に比べ低下傾向であったが、AFP値改善はmajor/minor 間に差を認めなかった。また79歳男性に間質性肺炎を認め中止となった。[結論]IL28B majorと判定されても高齢者にはウイルス排除目的のIFN治療が導入できない症例が多数存在する。低ウイルス量ではPegIFNα短期療法、ALT・AFP高値例では年齢・IL28B遺伝子情報に関わらず、IFN少量長期投与を考慮すべきであるが、その有効性は予測することは難しく、またIFN少量であっても間質性肺炎には注意すべきと考えられた。 |
索引用語 |
高齢者, C型慢性肝炎 |