セッション情報 ワークショップ2(肝臓学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

高齢者のC型肝炎-どう扱うか?

タイトル 肝W2-2:

高齢者のインターフェロンリバビリン併用療法におけるSVR関連因子

演者 鈴木 雄一朗(武蔵野赤十字病院・消化器科)
共同演者 黒崎 雅之(武蔵野赤十字病院・消化器科), 泉 並木(武蔵野赤十字病院・消化器科)
抄録 【目的】年齢はC型慢性肝炎に対するIFN治療効果と関連する。高齢者ではIFNによる副作用出現も多くウイルス消失は困難であるが予後改善のためにはSVRを目指した治療が重要である。今回我々は高齢者に対するPEG-IFN+RBV併用療法、ならびに副作用が少ないと考えられるIFNβ+RBV についてSVR関連因子を検討した。【方法】検討1:PEG-IFN+RBV併用療法を行ったgenotype1b、515例を対象とした。検討2:IFNβ+RBV併用療法を行ったgenotype1b、65歳以上の20例を対象とした。【成績】PEG-IFN+RBVの全体のSVR率は37.2%で、65歳未満ではSVR42.6%、65歳以上では28.8%であった(p=0.005)。65歳未満のSVR関連因子は性別男性(p=0.031)、IL28B major(p<0.001)、肝線維化F2以下 (p=0.016)、EVR達成(p<0.001)であった。一方65歳以上のSVR関連因子は性別男性(p=0.006)、IL28Bmajor(p=0.007)、EVR達成(p<0.001)、Core70アミノ酸置換野生型(p=0.005)であった。IL28Bmajorでcore70野生型のSVRは40.5%であった。高齢者においてはEVRを達成しても若年者と比較してSVR率が低いが(76.4% vs 63.4%:p=0.124)、EVRを達成した場合に体重当たりのRBV総投与量が3.0g/kgを超えるとSVR率が有意に上昇した(3.0g/kg未満 43.7%, 3.0g/kg以上84.6%:p=0.024)。IFNβ+RBVのSVR率は29.4%で副作用中止は2例と少なかった。Core70番変異型7例はすべてNRで、IL28Bminor5例もすべてNRであった。70歳以上のSVR率がPEG-IFN+RBVでは24.3%であったのに対し、IFNβ+RBVでは41.7%であった。【結論】高齢者のウイルス治療ではSVRが得られにくいが、IL28BmajorでCore70野生型であればSVRが期待でき、またEVRを達成した場合には十分なリバビリン投与がSVRに関連していた。IFNβは3剤導入が難しいと考えられる70歳以上に対してもSVRが期待できる。
索引用語 高齢者, IFN