抄録 |
【目的】高齢者率が増加するC型肝炎に対する治療適応検討のため,IFN治療例の効果と,治療検討例の適応判断を,年齢別にウイルス・宿主遺伝子や肝硬度を含め解析を行った.【方法】1)’03年12月から当院と関連施設でPEG-IFN+Rbv療法を受け効果判定された674例を対象とし,年齢別SVR率とISDR,IRRDR,Core変異,IL28Bの関与を検討した.2)’10年2月からの1年間にIFN適応を検討する際FibroScanで肝硬度を評価した174例におき遺伝子情報を含めた判断を検討した.高齢で低硬度例は低発癌リスクと考え治療不要と判断した.【成績】1)1b,2a,2bのSVR率(%)は59歳以下(58.2,90.5,83.1),60~64歳(50.0,76.2,66,7),65~69歳(38.5,83.3,88.9),70歳以上(30.8,85.7,66.7)であった.1b65歳以上で遺伝子別のSVR率はISDR0,1と2以上で22.7vs72.2(p<.05),IRRDR3以下と4以上で12.5vs42.9,Core70WildとMutantで33.3vs38.5,IL28BMajorとMinorで40.9vs40であった.このうちIL28BMinorでのSVR例はISDR and/or IRRDRの変異数が多い例であった.2)64歳以下111例,65~69歳41例,70歳以上22例中,実際にIFNが投与された割合(%)はそれぞれ(1型31.2,23.3,25)(2型70.6,54.5,50)であり,不要と判断されたのは(1型0,20,62.5),(2型0,18.2,33.3)で1,2型を合わせると65歳以上20/63(31.7%),70歳以上12/22(54.5%)であった.不要例が含まれた68歳以上で要治療群と不要群での肝硬度は12.6vs6.8(kPa)と有意差を認めた(p<.05).68歳以上でISDR0,1と2以上で治療率(%)は27.3vs66.7,不要31.8vs0であり,IL28BMajorとMinorでは治療率38.1vs14.3,不要38.1vs42.9であった.また68歳以上の20.5%が肝硬度で不要と判断され遺伝子検索は行わなかった.【結論】加齢に伴いSVR率は低下するが良い遺伝子条件ではSVR例が認められる.肝硬度から治療が望ましく条件が良い例はIFNを行い,悪い例は肝庇護を行いつつ新規治療を待ち,高齢で低硬度の場合は現行の治療は不要で経過観察可能と考える. |