セッション情報 ワークショップ2(肝臓学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

高齢者のC型肝炎-どう扱うか?

タイトル 肝W2-4:

高齢者C型肝炎のインターフェロン宿主側治療効果規定因子の検討

演者 柳沼 礼子(順天堂大・消化器内科)
共同演者 池嶋 健一(順天堂大・消化器内科), 渡辺 純夫(順天堂大・消化器内科)
抄録 【目的】C型慢性肝炎(CHC)のペグインターフェロン(PegIFN)・リバビリン(RBV)併用療法の難治例には肝脂肪化合併や高齢が多いが、その機序は不明の点が多い。そこで今回私たちはアディポカイン発現の観点から検証した。【方法】当科でPegIFN・RBV併用療法を導入したgenotype 1b 高ウイルス量のCHC患者164例(男女;91:73例)を高齢者(65歳以上,37例,男女;17:20例)と非高齢者 (127例,男女;74:53例)に層別し解析した。肝組織は炎症(A)、線維化(F)、脂肪化(S)をスコア化し、血清レプチン,アディポネクチン,IP-10はELISA法で測定した。【成績】全164例のウイルス持続陰性化(SVR)率は45.1%であり、高齢者:37.8%, 非高齢者:47.2%と高齢者で低い傾向にあった。高齢者では非高齢者と比較しBMI、血清ALT、γGTPは有意に低く、一方で高血圧罹患率、血清フェリチン、血清ヒアルロン酸は有意に高かった。高齢者と非高齢者間には病理スコア(A, F, S)に有意差を認めず、非高齢者のnon-SVR群ではSVR群と比較しF, Sスコアが有意に高値を示したが、高齢者ではその傾向は認められなかった。血清レプチンおよびIP10値は高齢者と非高齢者間で有意差はなかったが、総アディポネクチンおよび高分子量アディポネクチンは高齢者で有意に高値を示した。非高齢者のnon-SVR群ではSVR群と比較し、血清レプチンが高い傾向にあるが血清アディポネクチンは有意差を認めず、IP-10は有意に高かった。また、高齢者のnon-SVR群で血清フェリチン値とヒアルロン酸が高い傾向があり、さらに血清4型コラーゲン値は有意に高かった。【結論】肝脂肪化や高レプチン血症はIP10値と相関することからIFN投与前の内因性IFN活性化を反映していると考えられるが、高齢者ではこれらの因子と奏効率の相関が認められず、高齢者の難治性要因には他の因子が関与している可能性が高いと推測された。一方、CHCでは血清アディポネクチン値が年齢と正相関し、高アディポネクチン血症は難治性予測因子となり得ることが判明した。
索引用語 アディポカイン, インターフェロン