セッション情報 ワークショップ2(肝臓学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

高齢者のC型肝炎-どう扱うか?

タイトル 肝W2-5:

高齢者のC型肝炎をどう扱うか?

演者 川上 由育(広島大・消化器・代謝内科)
共同演者 今村 道雄(広島大・消化器・代謝内科), 茶山 一彰(広島大・消化器・代謝内科)
抄録 (目的)高齢者(65歳以上)のC型肝炎患者に対する治療をretrospectiveに検討しよりよい治療法を見いだすことを目的とする。(方法)2000年より2011年までに当院初診した65歳以上の高齢者のうち発癌のない未治療C型慢性肝炎患者334例を対象とした。治療法の内訳はIFN治療、肝庇護療法(SNMCあるいはUDCA)。治療法別における予後(発癌率、肝硬変進展率)を3つの年齢層(65-69歳(143例)、70-74歳(118例)、75歳以上(73例))に分けて検討した。IFN治療は、高ウイルス量は主にIFN/RIB併用療法、低ウイルス量はIFN単独であった。(成績)対象の年齢中央値、女性の割合(%)、開始時PLT中央値、開始時ALT中央値、観察期間中央値はそれぞれIFN治療群178例(69歳、52%、13.7×104/μl、61 IU/L、54か月)、肝庇護療法群156例(73歳、56%、15.5×104/μl、37 IU/L、40カ月)とIFN治療群において年齢が若く、PLT低下(肝病変進展)したALT異常の患者が選択されていた。65-69歳ではIFN治療群106例(1型高ウイルス量以外34例)、肝庇護療法群37例と74%にIFNが施行されIFN治療効果はSVR55%(76%)、中止率は18%であった。発癌率はIFN治療群6.6%(SVR例3%)、肝庇護療法群8%、肝硬変進展率はIFN治療群3.8%(SVR例0%)、肝庇護療法群2.7%であった。70-74歳ではIFN治療群58例(1型高ウイルス量以外18例)、肝庇護療法群60例と49%にIFNが施行されIFN治療効果はSVR34%(56%)、中止率は21%であった。発癌率はIFN治療群5%(SVR例0.5%)、肝庇護療法群5%、肝硬変進展率はIFN治療群1.7%(SVR例0%)、肝庇護療法群1.7%であった。75歳以上ではIFN治療群14例(1型高ウイルス量以外9例)、肝庇護療法群59例とIFNは29%に施行されIFN治療効果はSVR36%(56%)、中止率は29%であった。発癌率はIFN治療群29%(SVR例からも2例発癌)、肝庇護療法群8%、肝硬変進展率はIFN治療群0%、肝庇護療法群5%であった。75 歳未満ではSVR例は発癌率が低く肝病変進展例がいなかった。(結論)75歳未満にIFN治療は有用である。特にSVRの高い1型高ウイルス量以外は治療介入するべきと考える。
索引用語 C型慢性肝炎, 高齢者