セッション情報 ワークショップ2(肝臓学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

高齢者のC型肝炎-どう扱うか?

タイトル 肝W2-7:

高齢者C型肝炎患者に対するインターフェロン関連療法の有用性についての検討

演者 原 祐(虎の門病院・肝臓センター)
共同演者 鈴木 文孝(虎の門病院・肝臓センター), 熊田 博光(虎の門病院・肝臓センター)
抄録 【目的】我が国の高齢化社会に伴い, C型肝炎患者も高齢化し, 加療方針に苦慮することが多い. 今回我々は高齢者におけるIFN関連治療の有用性について検討した.【方法】1979年から2009年までに当院を受診したC型肝炎患者で初診時65歳以上, 肝癌の既往がない974例の連続症例の肝発癌率, 生命予後に寄与する要因を多変量解析にて検討した.【成績】年齢:中央値68歳(65~88歳), 男性437例:女性537例, 経過観察期間:中央値6.7年(0.1~23.7年), IFN施行例:IFN未施行例=144(RBV併用18.0%):830例であった. IFN施行例/非施行例の患者背景は年齢(中央値):67/69歳, genotype1:62.2/79.5%とIFN施行群は年齢が若く, genotype1以外の症例が多かった. またAST, ALTが有意に高かった. 累積発癌率(IFN施行/IFN未施行):5年目(9.2%/15.3%), 10年目(16.9%/31.3%), 肝疾患関連死(肝硬変, 肝癌に起因する死)に伴う累積生存率(IFN施行/IFN未施行):5年目(99.2%/92.4%), 10年目(94.7%/75.0%)でありIFN施行群は有意に予後が良好であった.発癌に有意に関与した因子として多変量解析にて性別(男), ALT(≧67IU/l), Bil(≧1.2mg/dl), AFP(≧10ng/ml), Hb(<12g/dl), 血小板数(<10万/μl), IFN関連療法(無)が抽出された. また肝疾患関連死に有意に関与する因子として多変量解析にて性別(男), AST(≧85IU/l), ALT(≧67IU/l), Bil(≧1.2mg/dl), AFP(≧10ng/ml), 血小板数(<10万/μl), IFN関連療法(無)が抽出された. HCV Coreアミノ酸置換およびIL28B遺伝子多型についても検討したが, 65歳以上の高齢者ではIFN施行例, 非施行例ともに肝発癌および肝疾患関連死に関与は認めなかった. またIFN施行にて45例(31.3%)がSVRを達成し, non SVR症例と比較し発癌および肝疾患関連死を有意に抑制していた.【結論】高齢者においてもSVRに至った症例は予後改善が期待できる. またSVRに至らなくて組織進行が予想される症例においてはIFN関連療法を施行することにより予後が改善される.
索引用語 C型肝炎, 高齢者