セッション情報 |
ワークショップ2(肝臓学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)
高齢者のC型肝炎-どう扱うか?
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タイトル |
肝W2-8:高齢者C型慢性肝炎に対するインターフェロン療法の工夫
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演者 |
岩崎 良章(岡山大保健管理センターDELIMITER岡山大大学院・消化器・肝臓内科学) |
共同演者 |
池田 房雄(岡山大大学院・分子肝臓病学DELIMITER岡山大大学院・消化器・肝臓内科学), 山本 和秀(岡山大大学院・分子肝臓病学DELIMITER岡山大大学院・消化器・肝臓内科学) |
抄録 |
【目的】わが国のC型肝炎患者は高齢化しており,標準的治療であるペグインターフェロン(PEG-IFN)とリバビリン併用療法においても減量・中止例が多く、プロテアーゼ阻害剤の併用でこの傾向はさらに顕著になると考えられる。PEG-IFNとリバビリン併用量療法におけるリバビリン低用量開始投与およびIFN単独少量長期投与の可能性について検討した。【方法】(1)1型かつ高ウイルス量(100 KIU/ml以上)のC型慢性肝炎62例について、PEG-IFNとリバビリン併用療法においてリバビリンを通常用量にて投与開始する群(I群)と、200 mg低用量から開始し、ヘモグロビン濃度に応じて増量(Dose-escalation)する群(II群)に無作為に割付けて、有効性および安全性を比較した。(2)PEG-IFNとリバビリン併用療法無効あるいは不適応のC型慢性肝炎52例に対してIFN単独長期投与を行い、治療反応性と肝発癌との関連を解析した。【成績】(1)HCV RNA陰性化はI群に比較してII群でやや遅かったが、SVR率は年齢別にみてもほぼ同等であった(42% vs. 45%)。治療の完遂率はII群で高く、ことに年齢の高い群(60歳以上)で明らかであった(P = 0.015)。(2)IFN単独投与開始後、24週、48週の時点においてALT値は有意に減少し(各々、P = 0.014, P = 0.015)、各々、58%、68%と高率に正常化(<40 IU/L)が得られた。投与開始24週、48週におけるAFP値は、ALT値の正常化と関連していた(P < 0.01)。ALT値あるいはAFP値が24週ないし48週時に正常の例では、高値の例に比較して有意に発癌率が高かった(各々、P = 0.036, P = 0.010)。【結論】PEG-IFNとリバビリン併用療法において、投与法の工夫により高齢の患者においても治療効果を大きく損なうことなく、より安全な治療が可能であることが示唆された。IFN単独少量長期投与では、ALT、AFP値の正常化を指標とすることが、発癌抑制と治療効率の観点から有用であった。 |
索引用語 |
高齢者C型慢性肝炎, インターフェロン療法 |