セッション情報 ワークショップ2(肝臓学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

高齢者のC型肝炎-どう扱うか?

タイトル 肝W2-10:

高齢者C型慢性肝炎におけるペグインターフェロン/リバビリン併用療法の治療効果と発癌抑制効果

演者 本多 隆(名古屋大大学院・消化器内科学)
共同演者 片野 義明(名古屋大大学院・消化器内科学), 後藤 秀実(名古屋大大学院・消化器内科学)
抄録 【目的】C型慢性肝炎患者の高齢者ではPegIFNとリバビリン併用療法の効果は低下するが、高齢者における発癌率は高く、発癌を抑制することが必要である。そこで高齢者における治療効果及び発癌抑制効果について検討した。【対象、方法】当院および関連施設において併用療法を施行したC型慢性肝炎1213例を検討した。平均年齢54.0歳、男/女 644/569、高齢者:65歳以上、男/女 108/123 平均観察期間 50.6ヶ月である。治療はPegIFNα2b 1.5μg/kg皮下+リバビリン:600~1000mg/日経口である。高齢者と非高齢者のSVR率の割合、中止率を比較した。また、Cox比例ハザード、Kaplan-Meier法により累積発癌率、発癌に関与する因子を検討した。【成績】SVR率は高齢者38.1%、非高齢者55.2 %であり高齢者で有意に低率であった。中止率は高齢者32.2%、非高齢者17.0%であり高齢者で有意に高率であった。高齢者における発癌に関与する因子はγGTP(ハザード比1.015、P=0.009)、血小板値(ハザード比:0.891, P=0.043)、治療効果 SVR vs Non-SVR(ハザード比:8.324、P=0.040)であった。累積発癌率は 非高齢者でSVR/Relapser/NR 3年後0.4/1.5/5.0%、 5年後0.7/3.8/8.9%で、高齢者では3年後0/10.8/19.8%、 5年後2.3/16.3/46.2%であり高齢者では有意に非高齢者と比較して累積発癌率が高かった、高齢者においもSVR症例では発癌率はNR症例、Relapser 症例と比較して有意に低下していた。とくにPlt15万以下、γGTPが100以上の高齢者においてSVR症例ではNR症例と比較して有意に低下していた。【結論】高齢者は非高齢者と比較して治療中止率が高く、SVR率も低値であり、累積発癌率も高率であった。しかし、高齢者であってもSVRが得られた症例で発癌率を低下させるため、ウイルス駆除を目指した治療が必要と思われる。
索引用語 C型慢性肝炎, 高齢者