セッション情報 ワークショップ2(肝臓学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

高齢者のC型肝炎-どう扱うか?

タイトル 肝W2-14:

高齢C型慢性肝疾患患者における年令別検査値からみた肝発癌の検討

演者 井出 達也(久留米大・消化器内科)
共同演者 有永 照子(久留米大・消化器内科), 佐田 通夫(久留米大・消化器内科)
抄録 【目的】C型慢性肝疾患への抗ウイルス療法の効果は高くなっているがとくに高齢者では副作用が問題である。今後数年以内に次々と新薬が認可される状況を把握し、肝発癌を念頭に入れて抗ウイルス療法をいつ行うべきかを決定しなければならない。そこで高齢者の節目の年令における検査値から発癌リスクを検討した。【方法】対象は当科初診時肝癌がなく最低5年以上経過観察があり、生年が1937年以前の391例(肝癌発生例114例、非発生例の277例)である。インターフェロン治療著効例は除いた。65、70、75、80歳時のAST、ALT、アルブミン、AFP、血小板数と肝発癌年令の関連を検討した。【成績】肝癌発生例のうち、65-69歳で肝癌を発症した例の65歳時のAST(IU/L)、ALT(IU/L)、アルブミン(g/dl)、AFP(ng/ml)、血小板数(x103/mm3)(いずれも中央値)は、68.5、55.0、3.8、14.2、8.1であった。70-74歳で肝癌を発症した例の65歳時のそれは、62.5、66.5、4.0、6.5、11.4であり、70歳時は、62.0、57.5、3.9、16.7、11.2であった。75歳以上で肝癌を発症した例の65歳時のそれは、51.5、66.5、4.2、6.3、15.8で、70歳時は、47.0、53.0、4.1、6.6、13.2で、75歳時は、56.0、57.0、3.9、13.2、11.3であった。一方、現在肝癌を発症しておらず75歳以上である例における65歳時のそれは、45.1、45.4、4.1、5.8、17.2であった。【結論】65歳以上のC型慢性肝疾患において、AFP値からみると、10を超えると5年以内に発癌する例が多く、血小板数からみると、65歳時に15万以上、70歳で13万以上であれば、75歳以降に発癌する例が多いと考えられ、抗ウイルス療法選択の一助になると考えられた。
索引用語 C型慢性肝疾患, 高齢者