セッション情報 ワークショップ3(消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会合同)

アレルギー性消化器疾患の実態

タイトル 内W3-2:

好酸球性食道炎の臨床像

演者 阿部 靖彦(山形大附属病院・2内科)
共同演者 飯島 克則(東北大病院・消化器内科), 下瀬川 徹(東北大病院・消化器内科)
抄録 【目的】好酸球性食道炎(EoE)の臨床像を明らかにすること。【方法】当科および関連多施設の食道生検で15個/1視野/HPF(400倍)以上の好酸球浸潤(食道好酸球増多;E-eos)が確認された33例(男28例、平均48歳)を対象とした。症状、アレルギー疾患の合併、末梢血好酸球増多、内視鏡所見、E-eosの程度、さらに治療を行った症例ではその効果について検討した。好酸球増多症候群、逆流性食道炎を合併する例、その他E-eosをきたす可能性のある基礎疾患を有する症例は除外した。【成績】食事のつかえ感、胸やけ、胸痛・胸部不快感のいずれかを有する症例は17例(52%)であり、花粉症、喘息、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹のいずれかのアレルギー疾患も17例(52%)に認めた。末梢血好酸球数は17例で検討可能であり、うち3例(18%)で軽度増加、14例(82%)は正常範囲であった。亀裂状縦走溝、輪状しわ、白色浸出物は全体ではそれぞれ28例(85%)、17例(51%)、19例(56%)に認められ、有症状群と無症状群の2群でその頻度に有意差はなかったが、この3つの内視鏡所見の広がりについて検討した結果、上または中~下部食道の広範囲に所見を認める例が有症状群で15例(88%)であったのに対し、無症状群では8例(50%)で2群に有意差を認めた(p<0.05)。とくに無症状群では食道胃接合部近傍や下部食道の比較的狭い範囲に限局性に所見を認める症例が多い傾向を示した。食道好酸球浸潤数(平均)は有症状群69個/HPF、無症状群64個/HPFで差はなかった。PPI投与(4~8週間)が行われ、投与後の症状・生検所見の評価が可能であった9例では、8例(89%)で症状が改善し、うち6例は内視鏡像の改善に加え、生検で好酸球が5個/HPF以下に減少した。PPI無効1例はプロピオン酸フルチカゾンの食道局所投与により症状・組織所見ともに改善した。【結論】E-eosは食道の狭い領域に限局してみられる場合があり、このような例では症状が出現しにくいことが示唆された。E-eosは、その多くがPPI投与で症状や組織所見は改善を示し、PPI不応性の典型的なEoEは少ないと考えられた。
索引用語 好酸球性食道炎, 食道好酸球増多