セッション情報 ワークショップ3(消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会合同)

アレルギー性消化器疾患の実態

タイトル 消W3-3追:

当院で経験した好酸球性食道炎10例の臨床像-特に食道壁肥厚を中心に-

演者 友松 雄一郎(藤田保健衛生大坂文種報徳會病院・内科)
共同演者 芳野 純治(藤田保健衛生大坂文種報徳會病院・内科), 若林 貴夫(藤田保健衛生大坂文種報徳會病院・内科)
抄録 【目的】好酸球性食道炎(eosinophilic esophagitis、EE) は食道上皮への好酸球浸潤を主とする稀なアレルギー疾患である。食道壁肥厚を中心にEEの臨床像を明らかにする。【方法】2010年5月から2011年12月までに当院で経験したEE10例を対象とし、EEの臨床的および内視鏡的特徴を検討した。また、EUSにより健常食道壁20例(コントロール群)と比較しEEに食道壁肥厚は必須であるかを検討した。【成績】EE患者の平均年齢は48歳、男性7例、女性3例であった。主訴は嚥下困難4例、胸焼け3例、つかえ感2例、胸痛1例であった。アレルギー疾患の既往は9例、末梢血の好酸球数増加は1例、IgE値上昇は8例であった。内視鏡所見は縦走溝10例、浮腫9例、血管透見消失9例、白斑6例、敷石様変化5例、輪状溝3例であった。EUSにより1例で粘膜+粘膜下層が6.3mmと著明に肥厚していた。EEとコントロール群を比較し、粘膜+粘膜下層の厚さ(1.9±1.6mm vs 1.4±0.4mm、p=0.33)、固有筋層の厚さ(1.5±0.3mm vs 1.4±0.4mm、p=0.62)に有意な差を認めなかった。病理組織検査では、全例において食道上皮に好酸球浸潤(15/HPF以上)を認め、胃と十二指腸からの生検では好酸球浸潤を認めなかった。治療は6例で必要であり、プロトンポンプ阻害薬(PPI)を第一選択薬とした。PPIは 2例で効果を認めたが、残りの4例は5週間以上のPPI内服で症状の改善を認めなかった。PPI無効4例のうち、3例に対してPrednisolone (PSL)20mg/日を併用したところ全例で有効であった。1例でPSL終了の1ヶ月後にEEの再燃を認めた。【結論】EEは比較的若年の男性に多く、アレルギー性疾患を多く有していた。症状は嚥下困難とつかえ感が半数以上を占めた。EUSにより計測した食道壁の厚さは1例で肥厚を認めたが、明らかな差は認められなかった。
索引用語 好酸球性食道炎, EUS