セッション情報 ワークショップ3(消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会合同)

アレルギー性消化器疾患の実態

タイトル 内W3-5追:

市中病院での好酸球性胃腸症における、カプセル内視鏡を用いた全消化管の検討

演者 倉本 貴典(阪和住吉総合病院・消化器センターDELIMITER大阪医大・2内科)
共同演者 上嶋 弾(阪和住吉総合病院・消化器センター), 樋口 和秀(大阪医大・2内科)
抄録 【目的】好酸球性胃腸症の病態についての検討が、近年注目されてきている。しかし、症例がまれであり、治療法など経過観察についても治療計画が明らかでないこともあり、日常診療で苦慮しているのが現状である。大学病院などの施設に紹介されることが一般的ではあるが、種々の事情で市中病院での経過観察を余儀なくされる場合も存在する。今回我々は一般市中病院における、好酸球性胃腸症の可能性を疑う症例についての病態と治療の検討を行った。
【方法】当院で腹痛・下痢・嘔吐などの症状を有して受診され、上部・下部消化管内視鏡を施行された患者のうち、病理生検にて粘膜内に20/HPF以上の好酸球が存在した、4症例について追加検査を施行し、治療後の経過について検討を行った。また、症状は有するものの内視鏡検査か拒否されて、腹部エコー検査にて腹水の貯留を認め、採血にて同疾患を疑った患者についてもこの検討に付け加えた。
【成績】5例とも採血にて好酸球増多を認め、アレルギー疾患の既往歴は存在した。CTにて消化管の肥厚を積極的に疑う所見は5例中2例であり、そのうちの1例は内視鏡未施行例であった。この2例はCTにて腹水貯留を認めた。内視鏡を施行し得た4例についてカプセル内視鏡を施行した。うち2例は浮腫・発赤を認めた。5例中2例は入院にてステロイド投与施行後外来受診中であり、2例は外来にてステロイド投与開始後経過観察中である。1例は本人希望もあり抗アレルギー薬のみで経過を観察中である。5例とも症状は自制内であるが、採血にて2例は再発の可能性を注意深くみている。
【結論】少数の症例であるため有意な検討は困難であったが、好酸球性胃腸症を診断するに当たり、内視鏡所見は有用であった。腹水貯留症例は胃腸症とかならず関連するとは言い難いが、今回は少数例の検討のため結論付けれない。他の好酸球性疾患との合併の可能性も否定できないと考える。
索引用語 カプセル内視鏡, 好酸球性胃腸症