セッション情報 ワークショップ3(消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会合同)

アレルギー性消化器疾患の実態

タイトル 消W3-7:

下痢型過敏性腸症候群の食餌抗原およびCeliac disease抗原の検討

演者 千葉 俊美(岩手医大・消化器・肝臓内科)
共同演者 森 妹子(味の素製薬(株)・創薬研究センター・探索研究所), 鈴木 一幸(岩手医大・消化器・肝臓内科)
抄録 下痢型過敏性腸症候群(IBS)は便秘型と比較して血清MCP-1の高値などIBSと微少炎症との関与を報告している(Chiba T, et al. Hepato-Gastrienterol, 2011)。【目的】下痢型IBS患者における食物アレルギーの関与について検討し、Celiac disease抗原についても検討した。【対象】Rome III criteriaを用いて診断したIBS下痢型患者20例(女性5例,男性15例;平均年齢41.3歳)を対象とした。IBS症状の認めない20例(女性10例,男性10例;平均年齢33.3歳)をコントロール群とした。【方法】対象症例から血液を採取し、食餌88品目に対するIgGスコアを測定し、陰性から陽性の程度に応じて0、0.5、1、2、3とスコア化した。Celiac Disease血清マーカーとしてTissue-Transglutaminase IgA(tTG-IgA)およびEndomysial Antibody IgA(EMA)を測定した。同時に血清IgE値も測定した。【結果】食餌88品目に対するIgGスコア:スコア0.5以上の品目数においてIBS群およびコントロール群で有意差は認められなかった。また、total scoreにおいてもIBS群およびコントロール群で有意差は認められなかった。さらに、Celiac diseaseと関係している可能性のある小麦、ライ麦、オーツ麦で比較検討したが、IBS群およびコントロール群で有意差は認められなかった。Celiac Disease血清マーカー:tTG-IgAおよびEMA IgG値のIBS群およびコントロール群においてすべて陰性であった。また、IBS群およびコントロール群において有意差は認められなかった。血清IgE値:IBS群およびコントロール群で血清IgE値に有意差は認められなかった。。麦類のIgGスコア高値症例:十二指腸粘膜生検を施行したが、Celiac diseaseに特徴的な所見は認められなかった。【結論】下痢型IBS患者では多品目の食餌に対してIgGが検出されたが健常人と差が認められなかった。Celiac Disease血清マーカーはすべて陰性であった。今後、さらなる症例の積み上げにより本邦のCeliac diseaseについて明らかにする必要があると考える。
索引用語 Celiac disease, 下痢型過敏性腸症候群