セッション情報 ワークショップ3(消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会合同)

アレルギー性消化器疾患の実態

タイトル 内W3-9:

アレルギー性紫斑病における内視鏡所見の検討

演者 堀木 紀行(三重大附属病院・光学医療診療部)
共同演者 葛原 正樹(三重大附属病院・光学医療診療部), 竹井 謙之(三重大大学院・消化器内科学)
抄録 【目的】アレルギー性紫斑病(シェーンライン・ヘノッホ紫斑病)は、毛細血管~細動静脈の血管に発生するアレルギー性血管炎で、細菌やウイルス感染、食物などのアレルゲンに対するIgAを介した免疫学的機序が考えられている。皮膚症状は特徴的ではあるものの、腹部症状が先行することもあり、また確定診断する特殊な検査が存在しないこと、激しい腹痛を伴うことが多く、ときに下血を伴うことより消化器科を受診し、消化器病変が診断の契機となることも多い。このため消化器科医は、適切な診断、治療を導くために本症の内視鏡所見について知っておくことが重要である。【方法】2003年10月から2012年3月の間に三重大学附属病院および関連施設にてアレルギー性紫斑病と診断された成人患者33名(平均年齢50.5±23.4歳、男性13例、女性20例、平均観察期間5.8±2.3年)のうち、腹部症状を訴え内視鏡検査を施行した11症例、37回の内視鏡画像をretrospectiveに検討した。【成績】11症例(平均年齢53.4±22.9歳、男性5例、女性6例、平均観察期間5.8±3.7年)において、8例(73%)に上部内視鏡検査にて胃十二指腸粘膜のびらん、発赤がみられ、十二指腸での虚血性腸炎様の変化が特徴的であった。下部内視鏡検査にて3例(27%)に回腸および大腸に粘膜発赤、びらんがみられ、紫斑様の粘膜病変ではあるものの所見は比較的軽微であり十二指腸ほどはっきりした特徴はみられなかった。【結論】消化器病変が皮膚症状に先行する場合、消化管病変が本症を診断する契機となることも多く、十二指腸の虚血性腸炎様の変化は特徴的であり、把握しておくことが必要であると思われた。
索引用語 アレルギー性紫斑病, シェーンライン・ヘノッホ紫斑病