セッション情報 ワークショップ3(消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会合同)

アレルギー性消化器疾患の実態

タイトル 消W3-11:

自己免疫性膵炎はアレルギー性疾患か?

演者 来間 佐和子(がん・感染症センター都立駒込病院・消化器内科)
共同演者 神澤 輝実(がん・感染症センター都立駒込病院・消化器内科), 原 精一(がん・感染症センター都立駒込病院・消化器内科)
抄録 【目的】自己免疫性膵炎は高齢の男性に好発しステロイドが著効しすぎるなど通常の自己免疫疾患に合致しない点がある。また自己免疫性膵炎ではアレルギーに関与するIL-4やIL-5などを産生するTh2型免疫やIL-10やTGF-βの産生を促すメモリー制御性T細胞が亢進している事が分かった。自己免疫性膵炎の発症機序にアレルギーが関与しているか否かを調べるために自己免疫性膵炎におけるアレルギー素因について検討した。【方法】自己免疫性膵炎67例のアレルギー性疾患の有病率(既往を含む)と内訳を調べた。またRASTを測定した15例の陽性率と原因物質を検討した。血中の好酸球を測定した68例を高好酸球群(好酸球≧600/mm3)、低好酸球群にわけ、IgEを測定した57例を高IgE群(IgE≧250IU/mL)、低IgE群に分け臨床像を検討した。【成績】1. アレルギー性疾患は自己免疫性膵炎43例(64%)に認め、花粉症14例、喘息8例、薬剤アレルギー4例、アトピー性皮膚炎2例、アレルギー性鼻炎、サバ、ハウスダスト、ハムスターに対するアレルギーが各1例だった。RASTは13例(87%)で陽性で、原因物質はスギが8例と最も多く、ヒノキ4例、ダニ、エビ、カニ、カモガヤが各3例、ハウスダスト、ガ、ブタクサ、カンジダ、コムギ、アスペルギルスが各2例、モルモット上皮、ヨモギ、ピーナッツ、ソバ、ハルガヤ、オオアワガエリ、シラカンバ、ペニシリウムが各1例だった。原因物質20個中8個(40%)が花粉症の原因となる物質だった。2. 高好酸球群は10例(15%)で、血中IgG4値、IgG値は低好酸球群と差を認めなかった。高IgE群は34例(61%)で、血中IgG4値(362.5IU/mL vs. 181IU/mL、p=0.003)およびIgG値(1928IU/mL vs. 1523IU/mL、p=0.006)の中央値は低IgE群に比べ明らかに高値だった。アレルギー性疾患の有無、急性膵炎、黄疸、膵外病変、ステロイド治療後の再燃は両群間で差を認めなかった。【結論】自己免疫性膵炎の64%にアレルギー性疾患を認め、87%がRAST陽性であり、自己免疫性膵炎の発症機序にアレルギーの関与が強く疑われた。
索引用語 自己免疫性膵炎, アレルギー性疾患