セッション情報 ワークショップ3(消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会合同)

アレルギー性消化器疾患の実態

タイトル 消W3-12指:

薬物性肝障害の実態

演者 堀池 典生(済生会今治第二病院・内科)
共同演者 上杉 和寛(愛媛大大学院・先端病態制御内科学), 日浅 陽一(愛媛大大学院・先端病態制御内科学)
抄録 目的)薬物性肝障害の診断に際して苦慮する例があったが、新しい診断基準(DDW-Japan 2004診断基準)が提案され広く受け入れられている。本診断基準を用いて最近の薬物性肝障害の実態、特にアレルギー機序の関与について調査した。方法)対象1は第44回日本肝臓学会の主題展示で全国集計を行った29施設、最近10年間(1997年―2006年)の薬物性肝障害1676例である。年齢は平均55.0歳、男性721例、女性955例である。過去の全国集計:1989年-1999年;為田ら、2002年-2006年;滝川らと比較した。更に、前期:1997年―2001年(594例)、後期:2002年―2006年(1082例)で比較した。対象2は当科の薬物性肝障害111症例で1期(1977年―1996年):56例、2期(1997年-2006年):35例、3期(2007年―2011年):21例である。成績)対象1において、DDW-Japan 2004診断基準スコアは5点以上(可能性が高い)が88%であった。服薬開始から肝障害発現までの期間は90日以内が80%であった。起因薬は抗生物質、解熱鎮痛抗炎症薬が多いが、健康食品、漢方薬が以前に比較して増加していた。肝障害の病型は、肝細胞障害型が59%、胆汁うっ滞型が21%、混合型が20%であった。DLST陽性率は33%と低率であった。好酸球6%以上増多は25.9%であり、後期(24.0%)は前期(31.2%)より有意に(P<0.01)低値であった。対象2において、アレルギー機序の関与について3期間で比較した。発熱(1期52%、2期31%、3期19%)、皮疹(それぞれ34%、11%、0%)、そう痒感(それぞれ63%、26%、5%)は減少し、DLST陽性率(それぞれ55%、29%、25%)、好酸球6%以上増多率(それぞれ30%、23%、0%)も低下していた。結論)最近の薬物性肝障害において、アレルギー機序の関与例が減少していた。
索引用語 薬物性肝障害, アレルギー