セッション情報 ワークショップ3(消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会合同)

アレルギー性消化器疾患の実態

タイトル 消W3-13:

薬剤リンパ球刺激試験(DLST)陽性の薬物性肝障害の現況

演者 鳩岡 正浩(広島市立安佐市民病院・消化器内科)
共同演者 辻 恵二(広島市立安佐市民病院・消化器内科), 脇 浩司(広島市立安佐市民病院・消化器内科)
抄録 【目的】薬物性肝障害の多くには遅延型アレルギーが関与すると考えられており, その起因薬物の確定法として薬剤リンパ球刺激試験(DLST)は有用である。今回我々はDLST陽性例の薬物性肝障害の現況について検討した。【方法】対象は2000年1月から2011年12月までに当院にて薬物性肝障害と診断され, DDWJ2004ワークショップのスコアリングで5点以上(可能性が高い)であった162例(男性72例, 女性90例, 平均年齢58±16歳)のうちDLST陽性121例(男性53例, 女性68例, 平均年齢57±16歳)ついて検討を行った。【成績】DLST陽性薬物性肝障害の発症数は2004年が28例と最も多く, 以後年10例前後で推移していた。基礎疾患は消化器疾患27例, 神経・精神疾患18例, 内分泌・代謝15例, 基礎疾患なし13例, 整形外科疾患12例の順であった。臨床病型は肝細胞障害型が62例(51%)と最も多く, 胆汁うっ滞型32例(26%), 混合型27例(22%)の順であった。DLST陽性となった被疑薬(製品)は178製剤(品)あり, 健康食品が47品と最も多く, 消炎鎮痛剤26剤, 漢方薬20剤, 精神科用剤17剤, 消化器用薬12剤, 抗生剤12剤の順であった。発症までの内服期間は31~90日が38例と最も多く, 続いて91~180日の16例, 8~14日以内と181日~1年以内が各13例の順であった。初発症状は50例(41%)でみられ, 発熱が22例と最も多かった。治療は被疑薬中止のみが71例(59%)と最も多く, SNMC注が21例, UDCA内服が20例, ステロイド使用が5例, 血漿交換が1例であった。回復までの期間は31日から90日以内が52例(42%)と最も多く, 15日~30日以内の43例(36%), 8~14日以内の14例(12%)の順であった。【結論】アレルギーが関与すると考えられるDLST陽性の薬物性肝障害の発生頻度は現在も横ばいで推移し, 健康食品によるものがもっと多く, 初発症状も少ないため, 被疑薬の内服期間も長く, また回復までに時間を要する。
索引用語 薬剤性肝障害, 安佐市民