セッション情報 ワークショップ3(消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会合同)

アレルギー性消化器疾患の実態

タイトル 消W3-14:

薬物性肝障害の臨床像と薬剤リンパ球刺激試験の関連

演者 高木 章乃夫(岡山大病院・消化器内科)
共同演者 三宅 康広(岡山大病院・消化器内科), 山本 和秀(岡山大病院・消化器内科)
抄録 【目的】アレルギー性機序による薬物性肝障害の診断は、末梢血中好酸球増多や薬剤リンパ球刺激試験(DLST)の陽性反応を参考に行われるが、診断に苦慮する症例も多く存在する。今回、当院で経験した薬物性肝障害の臨床像とDLST結果の関連について検討した。【方法】対象は、当院にて診断・加療された薬物性肝障害32例。薬物性肝障害の診断はDDW-J 2004基準に従った。【成績】全体では、年齢は中央値で49歳(17-75)歳、女性が19例(56%)。6%以上の好酸球増多は11例(34%)で認められ、DLSTは14例(44%)で陽性。診断時に基礎疾患に対して副腎皮質ステロイド剤が投与されていた5例では、DLSTは1例で陽性であったが、6%以上の好酸球増多を認める症例は存在しなかった。抗核抗体は8例(25%)で陽性。病型は、肝細胞障害型21例(66%)、胆汁うっ滞型4例(13%)、混合型7例(21%)。胆汁うっ滞型は、全例DLST陰性であった。治療として新規に4例で副腎皮質ステロイド剤が開始されたが、他の23例は原因薬剤の中止またはグリチルリチン酸製剤投与のみで軽快した。次に、DLST陽性例と陰性例の比較を行った。6%以上の好酸球増多を呈した症例は、DLST陽性例中9例(64%)、DLST陰性例中2例(11%)であり、DLST陽性例において有意に高頻度であった(p = 0.0017)。抗核抗体陽性例は、DLST陽性例中4例(29%)、DLST陰性例中4例(22%)であり、両群間で差を認めなかった。治療については、DLST陽性例中10例(79%)が原因薬剤の中止またはグリチルリチン酸製剤の投与のみで軽快し、DLST陰性例と差を認めなかった。なお、初回の肝機能障害発現時にDLST陰性であり、経過より薬物性肝障害と診断され副腎皮質ステロイド剤投与なしで軽快したにもかかわらず、その後に肝炎の再燃を認め自己免疫性肝炎と診断された1例を経験した。【結論】DLST陽性を示す薬物性肝障害では、好酸球増多を呈する頻度が高く、胆汁うっ滞型の割合が低い傾向にあった。DLST陰性例では、自己免疫性肝炎の鑑別のためにも肝生検が必要と考えられた。
索引用語 DLST, 薬物性肝障害