セッション情報 ワークショップ4(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

臓器移植法改正後の脳死肝移植を如何に推進すべきか-新たな問題点とその解決

タイトル 消W4-1:

臓器移植法改正前後における脳死肝移植症例の検討

演者 小林 省吾(大阪大大学院・消化器外科学)
共同演者 丸橋 繁(大阪大大学院・消化器外科学), 永野 浩昭(大阪大大学院・消化器外科学)
抄録 【背景】臓器移植法の改正以後、本邦の脳死肝移植数は増加している。現状における様々な問題点や今後の展望を検討するため、教室における脳死肝移植待機状況および肝移植施行例の検討を行った。【患者】教室における脳死肝移植登録数は2000年の初登録から2011年12月までで202名であった。脳死肝移植症例は法改正(2010年7月)以前では約10年で成人8例、小児1例であり、法改正後の1年半では成人2例、小児1例であった。本検討では、当院における脳死肝移植登録患者202例および成人脳死肝移植10例を対象とした。【結果】(1)脳死肝移植待機状況の検討2011年末における脳死肝移植待機症例は56名(27.7%, 待機期間中央値745日)であった。死亡例は69例(34.2%)、生体肝移植施行例は39例(19.3%)であった。一方臓器移植法改正前2010年6月時点での登録者数は167名で、待機症例は46名(27.5%, 待機期間中央値731日)、死亡例は56名(33.5%)であった。生体肝移植施行例は31例(18.6%)で、改正後でもほとんど変わらなかった。現時点での待機医学的緊急度6点症例は20例で、待機期間中央値は398日(5~1629日)であった。(2)脳死肝移植施行例の検討登録より移植までの期間は中央値742日(2~1519日)であった。待機医学的緊急度は9点(劇症肝炎)が2例、6点が8例であった。改正後の2例はどちらも6点で血液型はAB型であり、待機日数はそれぞれ705日と863日であった。全例の冷阻血時間は平均6時間59分で、改正後の2例はそれぞれ6時間50分と6時間51分であった。成人脳死肝移植全症例の1年生存率は80%、3年生存率70%であり、成人間生体部分肝移植の成績と同等であった(P=0.613)。【結語】本邦の脳死肝移植は、臓器移植法の改正以後も、深刻なドナー不足にある。貴重な臓器提供を最大限生かすことができるよう、ドナー評価・レシピエント術後成績の医学的検討と各施設間の情報共有が重要であると考えられた。
索引用語 脳死肝移植, 臓器移植法改正