セッション情報 ワークショップ4(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

臓器移植法改正後の脳死肝移植を如何に推進すべきか-新たな問題点とその解決

タイトル 肝W4-2:

脳死肝移植待機患者の診療体制からみた臓器移植法改正の影響

演者 山敷 宣代(東京大・臓器移植医療部DELIMITER東京大・消化器内科)
共同演者 菅原 寧彦(東京大・臓器移植医療部DELIMITER東京大・人工臓器・移植外科), 國土 典宏(東京大・臓器移植医療部DELIMITER東京大・人工臓器・移植外科)
抄録 【目的】臓器移植法改正前後の脳死肝移植(DDLT)待機患者管理における変化について報告し,今後の方針を提案する.【方法】当院にて2011年12月までに脳死登録に至った112例を対象とし,法改正前後における診療の変化や転帰について検討した.【成績】2012年2月時点でDDLT実施は17例であった.劇症肝炎10例および急性グラフト不全3例は医学的緊急度10点(旧制度9点)で登録し,7例が中央値7(IQR: 4-49)日後にDDLTに至った.その他の末期肝疾患99例中,9例が医学的緊急度6点で,1例が8点でDDLTに至り,待機期間は797(IQR: 559-871)日であった.術後の中央観察期間は3.2(0.1-9.3)年で全例生存している.DDLTを受けていない95例の転帰はDomino肝移植実施1例,待機中33例,死亡削除42例,生存削除19例であった.法改正後,8点・10点の症例が移植を受けやすくなった一方で,6点で長期待機している患者が移植を受ける可能性は依然限られていた.法改正後に登録した37例中29例(78%)が待機中入院を要し,うち26例(89%)はかかりつけ病院に入院していた.待機中の診療に携わるかかりつけ医からは,再申請基準の公開,簡便化,標準化を要望された.【考察】移植成績の維持と向上のためには,適切な術前評価と待機患者の管理,ドナー発生時の移植手術適応判断が引き続き重要である.客観的データに重点を置いて,待機患者がどこにいても再評価を繰り返しながら優先順位を見極める新たなシステム構築が望まれ,またその指針を待機患者の管理にあたる消化器病専門医に広く知らしめることが,脳死肝移植を健全で公平に推進するために必要であろう.
索引用語 脳死肝移植, 待機リスト