セッション情報 ワークショップ4(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

臓器移植法改正後の脳死肝移植を如何に推進すべきか-新たな問題点とその解決

タイトル 外W4-9:

医学生へのドナーアクション啓発活動の重要性

演者 岩田 貴(徳島大大学院ヘルスバイオサイエンス研究部・医療教育開発センター)
共同演者 島田 光生(徳島大・外科), 宇都宮 徹(徳島大・外科)
抄録 【はじめに】移植医療のその技術はすでに確立されている。しかし臓器提供の実施は欧米と比較すると低迷状態にある。我々はドナーアクションと将来の移植医療従事者の確保を目的に、これまでに市民公開講座や医学部生に講義を行なってきた。今回、アンケート結果を解析し医学部生の移植医療に対する啓発活動が極めて重要であることを報告する。【対象と方法】医学科2年生を対象に「生命倫理」の90分講義2コマを行い、ドナーアクションを2010年、2011年には市民公開講座を講義として共同開催した。各講義の終了後にアンケートを実施した。アンケート項目は、1.臓器提供意思表示カードを保有しているか、2.講義または講演会を聴講して臓器提供意思表示カードを保有しようと思ったか、3.臓器提供の方法としてOPTINGINとOPTINGOUTどちらに賛成するか、4.脳死を人の死として受容できるか、5.臓器提供できるか、6.臓器移植を受ける意思はあるか、7.海外渡航移植の自粛の賛成か、8.生体肝移植を認めるか、を調査した。【結果】医学生のほぼ全員が、ドナーアクションに関する授業などを小・中・高校では受けていないことが判明した。アンケート結果は、臓器提供意思表示カードの非保有率は92%で、このうちの83%が講義または講演会によって意思表示カードを保持しようと決意した。84%が脳死を人の死として受容すると答え、このうち90%が臓器提供をする意思があると答えた(一般人は43.5%、日本臓器移植ネットワーク調べ)。生体肝移植は90%が今後も必要と回答した。自由記載では、95%が講義で移植医療従事者から、講演会で移植コーディネーター、患者およびドナーが経験した実際の症例を聴講したことは、将来の医師となる医学生が移植医療の現状を理解するのに有益であったと回答した。【結語】医学部生の移植医療に対する理解促進のための講義および移植コーディネーター、患者およびドナーからの講座は移植医療に対する理解促進に有用と考えられた。
索引用語 ドナーアクション, 臓器移植