セッション情報 ワークショップ4(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

臓器移植法改正後の脳死肝移植を如何に推進すべきか-新たな問題点とその解決

タイトル 肝W4-10:

韓国における脳死肝移植の現状

演者 金 守良(神戸朝日病院・消化器科)
共同演者
抄録 【はじめに】韓国の肝移植は2010年をとってみても1066例(生体824例、脳死242例)であり、人口比率調整すると生体は日本の6倍、脳死は12倍である。その現状、背景と要因について韓国臓器移植管理センター(Korean Network for Organ Sharing:KONOS)の年報と韓国臓器提供機構(Korea Organ Donation Agency: KODA)のデータを参考にして論ずる。【現状】90年代初頭からの韓国の肝移植は99年まで計473例(生体209例、脳死264例)で脳死が生体を上まわっていた。脳死移植は2000年34例、01年37例、02年28例、03年50例、04年64例、05年66例、06年118例、07年128例、08年233例、09年237例、10年242例と右肩上がりに増加している。【背景と要因】症例数の多さの理由は韓国ではキリスト教者が人口の3分の1を占め、その臓器移植推進団体が移植の仲介を行っておりその役割は大きい。他の要因として有名なプロボクサーや宗教家が脳死や死に際して臓器提供したことで死(脳死)に際して臓器提供に関する社会的風調が高まったことが挙げられる。06年、08年、11年に脳死移植件数が急増加した要因としては03年の臓器移植法の改正と09年5月のKODAの設立が考えられる。KONOSは2000年に設立され脳死の法的枠組みが確立された。2003年の移植法の改正により脳死と診断した施設で十分な条件があればKONOSの承認下で同じ施設で肝移植が可となった。KODAは11年6月の臓器移植法により国立の臓器提供機関となり、役割として国民への宣伝、donor希望者の登録、同定と管理、coordinatorの教育などがある。韓国には28の脳死管理病院があり、11年6月からKODAへの脳死候補者の照会が必須となった。11年6月以降の照会は609例(11年全体で750例)を数えた。【まとめ】韓国の脳死臓器提供者は10年265例と比較して11年は368例と顕著に増加し、12年490例、13年650例と推定され、それにしたがって今後も脳死肝移植は増加することが予想される。その背景と要因についての考察は日本の脳死肝移植を推進する上で重要と考える。(データを提供して頂いたKODAのJongwon Ha氏に深謝いたします。)
索引用語 脳死肝移植, 韓国