セッション情報 ワークショップ5(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

大腸内視鏡およびCT-colonographyによる大腸がん検診の今後の展開

タイトル 内W5-2:

大腸内視鏡検査の適切な検査間隔を求めて

演者 横峰 和典(熊本大大学院・消化器内科学)
共同演者 尾田 恭(尾田胃腸内科・内科), 佐々木 裕(熊本大大学院・消化器内科学)
抄録 【目的】大腸癌は近年増加傾向にあるが、全大腸内視鏡検査(TCS)の普及と診断技術の発達にも関わらず、大腸癌による死亡者数を減少させることができていないのが現状である。その理由の一つとして、TCSが効率よく行われていないことが考えられる。今回、TCSの適切な検査間隔を探索する目的で、多施設共同後ろ向きコホート研究を行った。【方法】年間500例以上のTCSを施行している熊本県下17か所の内視鏡専門施設において、2005年1月から2005年12月の間に初めてTCSを受け、2010年12月までの5年間に少なくとも1回以上の繰り返し検査を受けた症例のうち、炎症性腸疾患等を除外した2320例を対象とした。経過観察中に観察されたadvanced neoplasia(ADN)について解析した。ADNは、10mm以上の腺腫、絨毛腺腫、高度異型腺腫瘍、浸潤癌(粘膜筋板を越える癌)と定義した。【成績】初回検査時にADNは10.8%の症例(250例)に認められた。ADNが認められなかった群では、繰り返し検査が1回(2070例)、2回(1022例)、3回(518例)でのADNの発見率は、それぞれ1.0%、0.5%、0.4%と繰り返し検査の1回目から著明に減少しており、一方ADNが認められた群では、繰り返し検査が1回(250例)、2回(155例)、3回(89例)でのADNの発見率は、それぞれ5.2%、4.6%、1.1%であった。1回目の繰り返し検査で2例の浸潤癌が認められたが、いずれもADN治療後の局所再発例であった。2回目以降の繰り返し検査を施行された1177例からはいずれの群からも浸潤癌は発見されず、4回以上の繰り返し検査を施行された320例からはいずれの群からもADNは発見されなかった。【結論】初回の内視鏡所見に関わらず、TCSによりその後のADNの発見率は減少し、5年間に2度のTCSにより浸潤癌の発見率は非常に小さくなることが明らかとなった。さらに初回検査の所見がADNでない症例では、5年間に1度の繰り返し検査で充分である可能性が示された。
索引用語 大腸内視鏡検査, 検査間隔