セッション情報 |
ワークショップ5(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)
大腸内視鏡およびCT-colonographyによる大腸がん検診の今後の展開
|
タイトル |
検W5-5指:我国におけるCT colonographyの現状と将来展望
|
演者 |
飯沼 元(国立がん研究センター中央病院・放射線診断科) |
共同演者 |
三宅 基隆(国立がん研究センター中央病院・放射線診断科) |
抄録 |
現在、我国で販売されるCT装置の60%以上は16列以上のMSCTであり、1mm以下の薄いスライスによって診断精度は向上し、その精細なMSCTの画像データを用いた各種臓器のCT三次元診断も実応用されるようになった。CT colonography(CTC)の大腸画像診断への応用が欧米のみならず我国においても実際の臨床に応用する施設が増加している。特に自動炭酸ガス注入器が昨年、薬事承認を受けたのを契機とし、CT検査における大腸CT加算として保険適応も達成された。タギング用バリウム製剤やelectronic cleansing画像処理法の開発もされ、診断精度は確実に向上している。当センターを中心とし、CTCの大腸スクリーニング応用に関するマルチセンタースタディも計画されている。今後、さらに効果的な前処置法と診断法が開発され、検査の低線量化によりCTCによって大腸診断体系を大きく変革すると予想される。低線量CT技術は大きく進歩し、通常検査の1/50~1/100でCTC検査が可能になっている。日本医学放射線学会はCTCに関するガイドライン作成委員会を発足させ、我国の精度管理を学会が主体となって行う事を決定している。またハンズオン・トレーニングの様な企画を通し、全国レベルでの検査・診断法の標準化も進める予定である。しかし大腸疾患の診療が、主に消化器科医により行われていることから、CTCの普及に関しては消化器科医と放射線科医の協力関係が重要である。現在、我国の大腸スクリーニングは便潜血反応検査により行われているが、より精度の高い方法が望まれている。また精密検査法である大腸内視鏡の検査処理能力は限られ,検査の苦痛や前処置負担に由来する被検者の嫌悪感は大きいため、精検未受診が大きな問題となっている。CTCにより大腸検査が身近なものとなり,現状の問題が解決される可能性は大きい。今後、高機能化・低線量化したCTCの臨床導入により、デジタル画像の特性を生かした大腸画像診断法が達成され、真に客観性、再現性、信頼性のあるCTC診断システムが、我国から世界に向けて発信されるであろう。 |
索引用語 |
CT colonography, 大腸スクリーニング |