セッション情報 ワークショップ5(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

大腸内視鏡およびCT-colonographyによる大腸がん検診の今後の展開

タイトル 消W5-6:

便潜血陽性者に対するCT colonographyの意義

演者 本田 徹郎(長崎県上五島病院・内科DELIMITER大腸3次元CT研究会)
共同演者 八坂 貴宏(長崎県上五島病院・外科DELIMITER大腸3次元CT研究会), 安田 貴明(長崎県上五島病院・内科DELIMITER大腸3次元CT研究会)
抄録 【目的】大腸がんスクリーニングにおける便潜血陽性者に対する大腸3D-CT(CT colonography)の精度検証を行い、便潜血陽性者のトリアージ法としての大腸3D-CTの有効性を検討した。【方法】2008年4月から2012年1月までに免疫化学法による便潜血検査(I-FOBT)で陽性となり当院で大腸内視鏡検査(CS)を予定した患者に対して大腸3D-CTを施行した症例を対象とした(多施設共同臨床試験Japanese National CT Colonography Trial の症例を含む)。対象とする病変はサイズが6mm以上で内視鏡的または病理学的にadenomaならびにadenocarcinomaと診断されたものとした。解析方法はCSをゴールドスタンダードとして病変サイズ別または患者別に感度、特異度、陽性適中率(PPV)および陰性適中率(NPV)を算出した。CT装置は16列MSCT、送気にはCO2を使用し、前処置には水溶性造影剤によるタギングを行った。【結果】231例の便潜血陽性者が対象(男性116例、女性115例、平均年齢67歳)。便潜血陽性者の30例(13%)に大腸癌(腺腫内癌も含む)、91例(39%)に6 mm以上の病変を認めた。病変サイズ別の精度は10mm以上の病変(n=69)で感度88%、PPV98%、6mm以上の病変(n=169)で感度77%、PPV87%であった。患者別の感度、特異度、PPV、NPVは10mm以上で93%、99%、98%、98%であり、6mm以上で90%、96%、93%、94%であった。【結論】水溶性造影剤によるタギング前処置で行った大腸3D-CTは便潜血陽性者においても良好な精度を示し、効果的なトリアージ法となる可能性が高い。大腸内視鏡検査に大腸3D-CTという新たなモダリティを加えることは内視鏡検査の効率化およびマンパワー不足の問題の解決につながると考える。
索引用語 CT colonography, 便潜血