セッション情報 ワークショップ5(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

大腸内視鏡およびCT-colonographyによる大腸がん検診の今後の展開

タイトル 検W5-9:

任意型検診受診者2,212名による大腸3D-CTの精検受診率と陽性適中率の検討 -通常前処置PEG-C法 vs. 最低限の下剤によるDry変法-

演者 永田 浩一(亀田メディカルセンター幕張・消化器科)
共同演者 伊山 篤(榊原サピアタワークリニック), 光島 徹(亀田メディカルセンター幕張・消化器科)
抄録 【目的】本邦初の多施設共同臨床試験の実施などを受け日本でも大腸3D-CTが新しい検査法として注目されるようになってきたが、任意型検診における大規模な検討報告はほとんどない。今回、任意型検診としての大腸3D-CTの精検受診率と陽性適中率(PPV)を腸管前処置方法別に評価し大腸がん精検法としての可能性を検討した。【方法】2007年4月から2012年2月までの間に我々の2施設で大腸3D-CTを受けた平均的リスクの合計2212名の受診者を対象とした。PEG(ニフレック)2Lと水溶性造影剤によるPEG-C法を実施した1432名と、腸管洗浄剤を使用しないDry変法(3日間の水溶性造影剤服用と前夜の少量の下剤服用)を実施した780名に分け、検査陽性率、実際に内視鏡検査を受けた精検受診率および内視鏡検査をゴールドスタンダードとした病変別PPVを解析した。【成績】6mm以上の病変を疑った検査陽性者は全体で171名(男性107名、女性64名)、PEG-C法で63名、Dry変法で108名であった。検査陽性率は全体、PEG-C法、Dry変法でそれぞれ7.7%、4.4%、13.8%であった。検査陽性者171名のうち追跡調査で確認が取れたのは131名で、そのうち実際に内視鏡検査を受けたのは122名であった。精検受診率は全体、PEG-C法、Dry変法でそれぞれ93.1%、98.2%、89.2%であった。6mm以上のポリープ別PPVは全体、PEG-C法、Dry変法でそれぞれ83.8%、86.7%、81.6%であった。10mm以上のポリープ別PPVは全体、PEG-C法、Dry変法でそれぞれ86.5%、90.9%、83.3%であった。タギング不良または不十分な腸管拡張(1大腸区分以上が2体位ともに虚脱)により不適切な検査と判断されたのは全体、PEG-C法、Dry変法でそれぞれ1.4%、0.4%、5.2%であった。【結論】大腸3D-CTの精検受診率は93.1%、PPVは6mm以上のポリープで83.8%、10mm以上で86.5%であり、有用な大腸がんの精検法の一つとなる可能性がある。Dry変法前処置は受診者の受容性に優れるが、検査精度はPEG-C法に比べ劣る。
索引用語 大腸3D-CT, CT colonography