セッション情報 ワークショップ6(消化吸収学会・消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)

病態栄養からみた肝・胆・膵疾患-治療への応用-

タイトル 消W6-1:

非アルコール性早期慢性膵炎疑診例に対するlow fat dietの有用性

演者 小森 寛子(順天堂大・消化器内科)
共同演者 崔 仁煥(順天堂大・消化器内科), 渡辺 純夫(順天堂大・消化器内科)
抄録 【目的】従来より、US,CTでは明らかな異常を認めず、膵臓痛が疑われる患者の中に潜在的な慢性膵炎患者が存在するといわれてきた。今回、EUSのみにて異常を認めた非アルコール性早期慢性膵炎疑診例に対するlow fat dietの有効性について検討した。【方法】当科外来において、膵臓痛が疑われ、アルコールの摂取回数が12回/年未満の患者を対象とした。膵酵素の上昇またはUS,CT,上部消化管内視鏡のいずれかで痛みの原因病変が疑われた症例は除外した。対象症例に1日20g以下のlow fat dietを4週間負荷し、その前後にて10cm-visual analog scale (VAS)を測定した。また、投与期間中にEUSを行い、慢性膵炎を示唆する所見数別に5以上(A群)、3 - 4(B群)、2以下の3群(C群)に分類した。EUS所見は既報の通り、hyperechoic foci, hyperechoic strand, lobularity, cysts, irregular duct margin, hyperechoic duct margin, visible side branchとし、主膵管拡張や膵石など、US,CTで診断可能な所見を有する症例は除外した。【成績】対象患者 412例中48例が対象となった。A、B、C群の内訳は、14例、19例、15例であった。各群間において、年齢、性別、病悩期間に有意差はなかった。Low fat diet前後におけるVASの値は、A群6.9±1.4、2.3±1.6、B群4.3±1.8、2.8±1.7、C群4.5±1.6、2.0±1.9で、各群において前後に有意差を認めた(p<0.05、p<0.05、p<0.05)。また、A群はB、C群比べ有意に高い改善率を示した(p<0.05、p<0.05)。【結論】1日20g以下のlow fat ditは非アルコール性早期慢性膵炎疑診例に有効と考えられた。
索引用語 早期慢性膵炎, low fat diet