セッション情報 |
ワークショップ6(消化吸収学会・消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)
病態栄養からみた肝・胆・膵疾患-治療への応用-
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タイトル |
消W6-2:病態栄養からみた重症急性膵炎に対する治療応用-経胃栄養の試み
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演者 |
北村 勝哉(昭和大・消化器内科) |
共同演者 |
吉田 仁(昭和大・消化器内科), 井廻 道夫(昭和大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】重症急性膵炎(SAP)に対して膵外分泌刺激の少ない経腸栄養が推奨されているが,近年経胃栄養の有用性が報告されている.当施設のSAPに対する経胃栄養の有用性と開始時期について検討した.【方法】2002年11月から2011年12月まで当施設で診療した厚労省新基準SAP 191例のうち,インフォームドコンセントのもと経胃栄養を施行した50例を対象とした.経胃栄養は,特殊治療を要するSAPに対して排ガスや排便,腹痛消失のいずれかを確認後,経胃チューブより成分栄養剤エレンタール®を1日300 kcal(25 ml/時)から開始し,数日かけて1日1,200 kcal(50 ml/時)まで増量した.(1)経胃栄養の臨床成績,(2)入院第5病日以内に経胃栄養を開始した28例(A群)と第6病日以降開始の22例(B群)における臨床効果を検討した.数値は,中央(最小~最大)値表記.【成績】(1)経胃栄養50例の年齢は54(15~85)歳,男性40例,女性10例.成因は,アルコール性28例,胆石性7例,特発性8例,その他7例.厚労省予後因子4(1~7)点,造影CT Grade 1:2:3=1:34:15.経胃栄養開始時期は,入院第5(3~18)病日,投与期間5(3~86)日間,致命率6%(3/50)であった.経胃栄養投与前後で血中アルブミン,トランスフェリン,プレアルブミン値は有意に上昇した(各々p<0.05).(2)A群とB群の年齢,性別,成因,予後因子,造影CT Grade,初期輸液量,特殊治療法(動注療法,CHDF),経胃栄養施行期間に有意差を認めなかった.両群間において,晩期重症感染症,膵感染性合併症併発率,手術施行率,致命率に有意差を認めなかったが,B群と比較してA群の経口摂取開始時期(11日 vs. 14日,p<0.001),抗菌薬投与期間(9日 vs. 13日,p=0.008),ICU入室期間(5日 vs. 8日,p=0.004),入院期間(21日 vs. 29日,p=0.019)は有意に短縮した.【結論】SAPに対する経胃栄養は栄養指標を改善し,早期経胃栄養は抗菌薬投与期間や入院期間の短縮に寄与する可能性があることが示唆された. |
索引用語 |
重症急性膵炎, 経胃栄養 |