セッション情報 ワークショップ6(消化吸収学会・消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)

病態栄養からみた肝・胆・膵疾患-治療への応用-

タイトル 消W6-3:

CONUTによる急性膵炎の栄養評価

演者 菊田 和宏(東北大大学院・消化器病態学)
共同演者 正宗 淳(東北大大学院・消化器病態学), 下瀬川 徹(東北大大学院・消化器病態学)
抄録 【目的】急性膵炎患者は様々な背景、病態を有しており、その栄養状態は多様である。栄養状態が臨床経過に影響を与えている可能性があるが十分に解明されていない。CONUT(Controlling Nutritional Status. Ignacio de Ulibarri J, et al., 2005)は血清アルブミン、総コレステロール、末梢血リンパ球数をスコア化、積算した簡易な栄養評価指標である。急性膵炎におけるCONUT値測定の有用性を明らかにすることを目的とした。
【方法】急性膵炎の診断にて2003年1月から2012年3月まで当科で膵炎急性期に加療を行った165例(慢性膵炎急性増悪63例を含む)を対象としてretrospectiveに検討を行った。CONUT値は、入院時、経腸栄養(EN)、中心静脈栄養(TPN)前後、食事開始前、退院時に算出し、栄養療法、合併症、予後との相関を解析した。
【成績】CONUT値は入院時4.4±3.0、食事開始前3.8±2.4、退院時3.0±2.7であった。ENは59例(TPN併用45例を含む)に施行され、CONUT値は、開始前6.1±3.4、終了時4.8±2.9で平均-1.6(95%CI -2.4~-0.9, p<0.0001)改善していた。有害事象が18例(30.5%)で認められたがCONUT値4以下で有意に少なかった(入院時4以下11.1% vs 5以上39.5%、p=0.0352。EN開始前4以下5.9% vs 5以上38.5%、p=0.0295)。一方、TPNは80例(EN併用45例を含む)に施行され、CONUT値は開始前6.9±3.2、終了時5.1±2.4、平均-2.2(95%CI -3.1~-1.3, p<0.0001)改善していた。有害事象は23例(28.8%)に認められたがCONUT値との相関は認められなかった。入院時CONUT値5以上で感染(4以下9.0% vs 5以上32.3%、p=0.0005)、感染に対するドレナージ、手術(4以下4.5% vs 5以上14.5%、p=0.04)の頻度が増加しており、軽快例における食事開始までの日数も増加していた(4以下15.5±14.8日vs 5以上30.0±19.0日、p<0.001)。
【結論】急性膵炎の臨床経過とCONUT値には相関が認められ、急性膵炎における栄養評価の重要性が示唆された。栄養状態に応じた適切な治療法の確立が望まれる。
索引用語 急性膵炎, 栄養