セッション情報 |
ワークショップ6(消化吸収学会・消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)
病態栄養からみた肝・胆・膵疾患-治療への応用-
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タイトル |
肝W6-11:C型肝硬変(LC-C)患者に対するレボカルニチン製剤投与の有用性に関する検討
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演者 |
福沢 嘉孝(愛知医大医学教育センター) |
共同演者 |
山田 晴生(JAあいち健診センター), 米田 政志(愛知医大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】肝は栄養・代謝調節の中心的役割を担う臓器の一つであり,広範な肝実質細胞数減少を有するLC患者には,高率にPEMや無症状肝性脳症が合併し易 いことが報告されている.近年,この様なLC患者に合併する高アンモニア(NH3)血症でのカルニチン動態が注目されているもののLC患者へのレボカルニ チン製剤投与とそのアウトカム評価,特にQOLとの関連を検討した報告はない.また,2000年頃より本邦のLC患者における栄養状態変化に伴う肥満頻度 が徐々に増加しているとも報告されている.この様な昨今のLC患者の栄養・代謝的特徴及び変遷を踏まえて,外来LC-C患者に栄養スクリーニングを実施し つつレボカルニチン製剤を投与し,アウトカム評価(有用性・QOL)を検討する事を目的とした.【方法】SGA評価で元気な外来LC-C患者16例(男性 8例,女性8例,平均年齢68.9±8.7歳)に対してレボカルニチン製剤(エルカルチン)を1,800mg/日(300mg×6錠,分3)を3ヶ月間経 口投与し,身体学的関連・生化学的・栄養学的パラメータ及び健康関連QOLスコア (SF-8) を定期的に測定し,投与前後で統計学的に比較後,そのアウトカム評価(有用性・QOL)を検討した.尚,本研究は既に本学倫理委員会にて審査・承認されて いる.【成績】測定した種々パラメータのうち有意な変化を認めたものは,以下の1)及び2)であった.1)Alb,PTは有意に改善し(各 p<0.05),2)血清カルニチン(総・遊離・アシルカルニチン)濃度は著増,逆に血中NH3は有意に減少し(各p<0.01),肝性脳症発現頻度は有 意に減少した(p<0.05).3)投与期間中,重篤な副作用例あるいは投与中止例は皆無であった.4)SF-8によるQOL評価では,3項目 (GH,RE,MH)で有意な上昇を呈し,総合メンタルスコア(MCS)においても有意な上昇を認めた.【結論】以上より,SGAで元気な外来LC-C患 者においてレボカルニチン製剤投与の有用性(有効性・安全性)が示唆された. |
索引用語 |
C型肝硬変, レボカルニチン製剤 |